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精神的な自慰行為

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 再生回数であったり、チャンネル登録者数であったりがそのまま単価となって、発信者の収入となる。人気ユーチューバーともなると、月収で何百万、いや、何千万という収入が入ってくるのだ。
 作者個人としては、
「楽して収入が得られるなんて、才能でもあればいいが、才能もないのに、ただウケたというだけで収入が得られる商売なんて、認めたくない」
 というのが本音だった。
 最初にやった人間はパイオニアとしてすごいと思うが、その後から続く人間なんて、しょせん二番煎じであり、ただのサルマネに過ぎないと思っているので、それでお金がボンボン入ってくるなどというのは、
「何の苦労もせずに、金儲けしやがって」
 としか思わない。
 嫉妬といえば嫉妬だが、その後蔓延ってきた、
「迷惑ユーチューバー」
 と言われる連中の存在がどれほどのものかを考えると、自分の「嫉妬」も、まんざらでたらめの感情ではないと言えるだろう。
 ユーチューバーというのは、少なくとも、オリジナル作品を書いている作家や絵描き、さらには音楽家などのような芸術的な才能があるわけではない。ただ、ウケることだけを追求して、
「それが世の中の迷惑になろうがどうしようが、モラルや常識など関係ない、自分さえよけばいいんだ」
 という考えを持って行動しているのが、迷惑ユーチューバーである。
 やつらは、危険なことであっても、犯罪であっても、視聴者数が稼げればそれでいいのだ。
 高層ビルのてっぺんに登って下りれなくなり、レスキューの出動を招いたり、わざと警察に捕まるようなことを起こして警察に追われている動画を撮影させ、それをアップしたり、国宝や世界遺産を傷つけてみたりと、完全に犯罪を犯してでも、視聴者数を稼ごうというのだ。
 普通の会社であれば、当然首になってしかるべきだが、ネットの世界が曖昧なのか、犯罪であっても、お金になるのならと、ユーチューバーが所属する運営会社も大目に見ているくらいだ。
 これは完全に運営も同罪と言ってもいいだろう。それだけに罪が深いと言ってもいい。それほどユーチューバーと呼ばれる連中の悪行は、すさまじいものがあり、それを考えると、
「世も末だ」
 とも言えるだろう。
 例の世界的なパンデミックの時に、
「やはり、これで世界も終わりか」
 と思った人が結構いたかも知れない。
 それを思うと、ユーチューバーという連中の罪は大きなものだったに違いない。
 確かに、全員が全員迷惑ユーチューバーと言われるわけではないとは思うが、迷惑でなければそれでいいという考えが果たして通用するのかというのが問題であろう。
 特に問題になったのは、人気ユーチューバーということで、個人的に仲良くなった女の子がいたのだが、その女の子はまだ未成年で、さらに児童だったことで、大きな問題になった。
 何とこのユーチューバーの男は、その子にわいせつな写真を撮らせて、それを送らせ、さらには、それをネタにさらにわいせつな写真と強制的に撮らせたり、さらには金銭を要求したりなどという犯罪を起こしたりしていた。
 このようなニュースはどんどん増えていき。それまでの迷惑ユーチューバーのさらに進化した形として、許されることではなくなってしまっていた。
 それらの法律としては、児童ポルノ法くらいしかなかったが、それでは犯罪がなくなるはずがないということで、どうすればいいのかということが、政府では水面下で進められていた。
 どのように解釈しようとも、なかなか落としどころを決めるのは、至難の業であった。男女平等の観点からも、冤罪を招くという観点からも、さらには、個人情報、プライバシー保護という観点からも難しかった。プライバシー保護と平行して考えられたのが、人権問題だった。どこまで司法や警察が介入できるかという問題があったので、双方に納得させる形にするには、何かの開発が必要とされた。
 その考えが、今回の、
「セックス同意書」
 という考え方である。
 まず、悪質な強要などによる性行為であったり、暴力を撲滅しなければいけない。そのためには、セックスに対して、何らかの制限を設ける必要がある。
 その第一に考えられることとして、
「セックスというのは、好き合っているもの同士が行うのが前提であり、目的として子孫を残すということでなければいけない」
 と定義づけることが必要だった。
 つまり、目的を脅迫であったり、金銭であったりというのは、卑劣な行為であり、到底容認できるものではないというものだった。
 しかし。人間には性欲というものがある。これが異常なのが問題なのだが、だからと言って、性欲をすべて悪だとして締め付けるのは難しいだろう。
 だからこそ、風俗業愛が存在するのであり、
「法律に遵守していれば、風俗業というのは、市民権を得ることができるのだ」
 ということである。
 だから、風俗営業法に遵守していれば、ソープランドなどのセックス業界と呼ばれるものは合法的に営業ができる。
 昔のパチンコ屋のように、その収入がヤクザの資金源になったりという偏見もあったが、今の風営法ではどこまで許されるのかである。
 ただ、逆にいえば、風俗業を失くすというわけにはいかない。性犯罪を失くするために、性的欲求不満のはけ口である性風俗がなくなってしまえば、さらに性犯罪が増えるということで、本末転倒となるのは、当たり前のことだった。
 だから、今回の法案に上がった。
「セックス同意書制度」
 というものを単純に施行してしまうと、風俗業の営業にも大きな障害をもたらしてしまうことになる。
 また、ホテル業界においても同じだった、ただ、これらの問題の解決に一役買ったのも、この法律によるものであった。
 問題は。性犯罪において、美人局のような連中がまだまだいるということだった。
 男が女の誘惑につられて、ホテルなどにノコノコとついていくと、そこに待っていたのが美人局であり、それらのような連中に男が脅されるという、性犯罪の盲点をついたような犯罪は昔からあった。
「強引に誘う男が悪い」
 という決まり切ったかのような考えに、世間は騙されがちになってしまう。
 女が、自分が襲われたと言い張れば、裏で何があっていようと、女を信じるのが世間であった。男が女を蹂躙しているのがカメラに収まっていれば、それだけで、動かぬ証拠になってしまう。
 女の方から、
「襲われているかのようなプレーをしたい」
 とでも言われれば、ホテルにホイホイついてくるような男なので、簡単に騙せるに違いない。
 相手は知能犯だが、それだけではない。完全に相手の弱みを握ることで何でもできると思っているのだ。
 そうなってしまうと、女性を守るのも難しい。ある程度の制限をかけなければいけないだろう。特にホテルなどに入る場合に、
「セックス容認カード」
 がないと、部屋に入れない仕組みにしておくなどである。
 基本的には夫婦間だけには、婚姻届けの提出と同時に指紋登録をして、許可書を配布してもらうということになる。つまり、ラブホテルなどを利用する場合は、夫婦でなければいけないというものだ。
 そうなると、普通に恋愛してのホテル利用もできなくなる、それこそ、
作品名:精神的な自慰行為 作家名:森本晃次