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高値の女王様

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 後は、プロットに必要なものを考えていく。取材や本を読んでの勉強も必要だろうし、自分の経験を思い出して書くのもいいだろう。
 ノンフィクションであれば、自分が経験していないことを書くのはNGだが、フィクションであれば、ある程度は何でもありだ。少々無理な話であっても、
「これは夢だった」
 という夢オチという形にしてしまうという手もあるだろう。
 ただ、夢オチはベタな方法なので、似たような話になりそうな場合は、他の人の作品と被らないように考える必要はあるのだが、一度も完結させたことのない素人が、そこまで考える必要はないだろう。
 それが売れて、印刷され、値段がついた商業本であれば、そこまで気にしなければいけないが、発表予定のない自分のオリジナル作品であれば、別に盗作であっても、著作権侵害には当たらない。著作権侵害は、あくまでも盗作により、利益を得て、本来の著作権者に迷惑をかけた場合に適用されるものである。
 もう一つ考えられるとすれば、
「集中力が続かない」
 ということではないだろうか?
 すぐに気が散ってしまって、小説を書いているのに、別のことを考えてしまったり、自分の部屋であれば、テレビやゲームという誘惑に負けてしあったりというのがあるだろう。
 小説を書きあげることができない」
 という人で、理由として一番最初に挙げるのが、この考えではないだろうか。
 一番分かりやすい考えで、表に出ていることだからだ。その理由の大きなものとしては、
「小説を読んでいないからだ」
 ということに尽きるだろう。
 人の作品でも読んでいれば、どんどんその小説に引き込まれていくのが分かるはずだ。読みながら気が散っているようでは、そもそも小説を書こうなどと最初から考えること自体間違っているのだ。
 その最初のステージをクリアしたのであれば、本を読むことだってできるだろう。他の人の小説にどのように引き込まれるのかを考えながら読んでいくと、
「俺だったら、この次の文章、こういう書き方をするよな」
 と感じるはずである。
 先々に読んでいくと、
「読みながら考えられるのだから、文章を作りながらだって、先読みができるはずだ」
 と感じるはずだ。
 そうなってしまうと、もうこっちのものだ。あとはいかに小説を言葉としてつなげていくかということの問題だけである。
 そのために、集中力が必要なのだということに気づけば、ここの、
「集中力が続かない」
 という問題はクリアするはずである、
 書いているうちに、どんどん先の言葉が思い浮かんできて、気が付けば集中している。集中力がないのではなく、集中力をもたらすくせをつけるようにすればいいのだ。それが読書であり、文章作法の勉強と一緒に、流れも感じることができる。そういう意味ではハウツー本も大切だが、生のサンプルも大切だと言えるだろう。どんな小説を書けばいいのかというのも集中力が生まれてくると、おのずと、プロットも出来上がるし、自分になかった自信を持つこともできるだろう。
 そう、書きあげることの最終的な目的は、
「自分に自信を持つことだ」
 ということになるだろう、
 ただ、書きあげるということに関しては他の芸術と同じであろうが、何よりも違うのが、
「自分になんかできるわけがない」
 という思いが他の芸術よりも強いのではないかと思われる。
 確かにほかの芸術でも、自分にはできないと思われがちのことは往々にしてあるだろう。絵画にしても、工芸にしても、投げ出したくなることもあるだろう。むしろ、文章よりも絵画や工芸の方が、感性としては強いのではないだろうか。
 絵画の場合のように、感性が強いというのに、なぜ小説を書いている人間よりも、絵を描く人の方が圧倒的に多いのか、実に不思議に思う。友達の中にも、
「絵を描いている」
 という人は結構いるが、
「小説を書いている」
 という人はあまり見かけたことがない。
 ひょっとすると、あまり書いている人がいないことと、読ませてほしいなどと言われるのを危惧して、書いているということを公表しない人が多いのかも知れない。
 絵であれば、結構描いている人が多いので、少々下手くそでも、さほど何も言われないような気がするが、小説であれば、結構辛辣な意見が寄せられるのではないかという思いもあるのかも知れない。
 確かに、ネットなどで素人小説家が書いた作品の感想やレビューなどで、結構辛辣な意見を書いている人もいる。
 絵に関しては、見る角度によって意見もさまざまなので、辛辣な意見があっても、それほど気にはならないが、小説というと、文章なので、ある程度は幅が決まっているようなものである。辛辣な意見も真摯に受け止めなければいけないのではないだろうか。
 小説というのは、そうやって考えてみると、今からやってみようと思うのはどうなのだろうか?
「他の芸術ではなく、小説だけをやっていきたい」
 と思うのであれば、小説に走るのもいいだろうが、絵画もやりながらというと、中途半端な気もして、本当に両立できるのか、難しいところであった。
 小説が書けるようになってからであれば、それも可能なのだろうが、最初が絵画だったというのは、どうなのだろう?
 図書館で本を読んでいると、同じように小説の書き方なろ本を物色している男子生徒がいた。彼はメガネをかけていて、少し小柄な少年と言ってもいいくらいの男の子だった。男子を意識するのは、マッチョな男子だと思っていたのだが、真剣に小説の書き方という本を読んでいるその少年に、今までに感じたことのない感情を抱いたのは、なぜだったのか?
 同じ目的を持った人が、図書館で同じような本を探しているというシチュエーションは、恋愛マンガ、恋愛小説では明らかにベタなお話ではないだろうか。
 しかも、好みのタイプではない男の子をなぜ意識するのか、それを分からない間は、どうしても気にしてしまう。その矛盾をいかに自分なりに解釈するか、どこが難しいところであった。
「あの、どんな小説を書かれているんですか?」
 と、ひなたは彼に聞いた。
 彼がもし、必死になって否定し、小説を書いていないと言えば、自分と同じレベルなので、ひなたは、安心して話ができるだろう。
 しかし、彼が落ち着いて、今何かの小説を書いているということになれば、彼から教わることもありそうな気がする。その時は、彼のことを師匠のように感じ、決して男女の関係に発展することはないだろうと思うのだった。
 どちらにしても、その反応で相手に期待するものの違いこそあれ、近づきになりたいと思う気持ちには変わりはないだろう。
 すると、彼の反応は、
「ああ、僕はまだ小説を書きたいと考えているだけで、まだまだこれからだと思っているんですよ。おねえさんはどうなんですか?」
 と、彼はひなたのことをおねえさんと言った。
 ということは少なくとも、現役で入学してきた一年生ということであろうか?
「おねえさんとは?」
 と聞くと、
「ごめんなさい。これは僕のくせなんですよ。ついついおねえさんと言ってしまうんですよ」
 というと、
「いつも、誰にでもおねえさんというの?」
 と聞いてみると、
作品名:高値の女王様 作家名:森本晃次