悠々日和キャンピングカーの旅:⑦能登半島(福井県)
更に南下を続けると、七尾北湾越しに能登島が見えた。
「ツインブリッジのと」から島に入り、「能登島大橋」で島から出るという、島の南西部を僅かに走ったのみだった。せっかくここまで来たのだから、島を一周回っても良いのだが、七尾西湾の向こうに見える和倉温泉地の風景が、能登半島には相応しくない大都会に見えたが、“Let’s go Spa”が迷った末の結論だった。
JR和倉温泉駅で教えて頂いた日帰り湯「総湯(共同浴場)」に向かうことにした。温泉街に入ると、見上げるホテルが多くなり、極め付きは温泉街の一番奥にあった「加賀屋」、ど~んと構えた姿は“和倉温泉の主”のようで、その駐車場は満車だった。そこからは引き返しながら「総湯」を探し、その広々とした湯船に浸かり、和倉温泉の気持ち良さを十分に堪能した。
夕食と宿泊のために、七尾の道の駅「能登食祭市場」に向かった。和倉温泉からは数キロほどだったが、長湯をしたためか、到着した時は既に、道の駅のショップの営業時間は終わっていた。ところが、その2階のレストラン街にはまだ開いている店があり、そのひとつ、和食処「加賀屋」に入った。
少し贅沢な内容のセットを注文した後に、お店の方に伺ったところ、この和食レストランは、先ほど見たホテル加賀屋の直営店とのこと。能登の加賀屋の味に舌鼓。更に、ホテル加賀屋の駐車場が満車だったとの話になり、コロナ禍で客足が減る観光業界に対する石川県の旅費割引キャンペーンで、その効果とのことだった。納得。
道の駅の駐車場には数台のキャンピングカーが停まっており、能登半島を巡っているのだろう。
能登半島の付け根まで旅をしてきたところで感じたのは、半島をぐるりと回る鉄道網はなく、バス路線については調べてはいないが、場所や時間に束縛されず、行った先で泊まることができるキャンピングカーは最も適した旅の手段だと、改めてそう感じた。数台のキャンピングカーが停まっていたのは、そういう理由からだろう。
網戸越しに吹き込む風が弱くなり、ダイネット内が少し暑くなった。ダイネット専用の独立したエアコンを搭載していないため、キャンピングカーのエンジンを掛けて、それと連動するダイネットのエアコンを作動させることにした。その場でエンジンを掛けると、周囲に停まっているクルマの迷惑になるため、広い駐車場のクルマが停まっていない場所に移動して、エンジンを30分ほど掛けて、ダイネットを少し冷やした。
最新のキャンピングカーは大容量のサブバッテリーで作動するダイネット専用のエアコンが装備され、エンジンを掛ける必要はないようだが、今後、発電機orポータブル電源で作動する窓型エアコンの取り付けを夫は考え始めた。
就寝前、能登半島の付け根の、石川県と富山県に跨る宝達丘陵(ほうたつきゅうりょう)あたりに稲光が見えた。夜、雨が降るかもしれないが、ダイネットのテーブル横の突き出し窓を開けて寝ることにした。これは初めてのことで、明日の朝、どうなっているものやら・・・。
夫はバンクベッドに寝て、妻はダイネットで寝る。
これまで、ダイネットのテーブルを片付け、ソファーの位置を変えて、ダイネット全体をベッドルームにして、妻用の布団を敷いていたが、妻からの提案で、テーブルをそのままにして、テーブルの横の通路側のソファーの位置のみを変えることで、布団を敷けるスペースを確保できることが分かった。そのことで、就寝前、テーブルの上のものを片付ける必要がなくなったことは、大きなメリットだった。
作品名:悠々日和キャンピングカーの旅:⑦能登半島(福井県) 作家名:静岡のとみちゃん