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無限への結論

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 ただ、そもそも日本というのは、陸軍国である。海軍というのは、陸軍の作戦を陽動するくらいのイメージしかなかった。歴代首相を見ても、陸軍出身者が、海軍出身者に対して群を抜いて多いのも分かるというものである。
 ということで、陸軍の方は、めれー半島侵攻作戦を行っていたのだ。
 ただ、なぜ真珠湾の成功の方が大きく報じられたのかは分からない。敢えて、陸軍の動きを軍の機密として、大本営が抑えたのかまでは分からないが、これによってアメリカが参戦し、いよいよ核開発が現実味を帯びてくるのだった。
 ただ、実際に開発を行い、完成したその時には、すでにドイツは降伏していた。
 そういう意味では、核兵器を使う場所がなくなってしまったのだ。
 だが、彼らには戦後に起こるであろう、
「冷戦の問題」
 が残っていた。
 ここで戦争をアメリカ主導で終わらせ、その後の世界の覇権をアメリカが握るためにはどうすればいいかということを考えていた、当時の日本政府は、国体維持を最低限の条件として、第三国に講和を頼もうと目論んでいた。その第三国というのが、ソ連だというのはある意味滑稽な話であったが、当時日本は、
「日ソ不可侵条約」
 を結んでいたので、それを一縷の望みにしていたのだろうが、考えてみれば、ソ連という国は、
「不可侵条約」
 という言葉に信憑性のないことを一番知っている国だった。
 なぜなら戦争直前に結んだ
「独ソ不可侵条約」
 をヒトラーに締結からたった二年も経たないうちに破られてしまったのだから、本当に
「絵に描いた餅」
 のようなものだったに違いない。
 しかし、軍部の強硬派は、政府の意向とは別に。
「本土決戦」
 などと言い出して、焦土になってもいいという暴挙に立っていたのだ。
 グァム、サイパンが陥落(玉砕)し、テニアン諸島がアメリカの手に落ちた瞬間、日本が焦土になるのは決まったようなものだった。
 何しろ、B二九爆撃機の航続距離が、これでほぼ日本全土に広がったのだから、当然といえば当然だ。
 それでも最初は日本も善戦していた。爆撃が局地的な兵器工場などに向けてのものであれば、まだよかったのだが。本土爆撃ともなると、作戦は無差別爆撃に変わっていた。
「日本の街を焼き払う」
 という目的で開発された、M六九焼夷弾など、大いに威力を発揮し、ほとんどの土地が廃墟となってしまったのだった。
 その頃にはドイツも降伏していて、原爆実験が行われるところであった。
 アメリカの中には、日本に原爆投下に賛成する人は多かった。
「戦争を早く終わらせて。自軍の被害を最小限に抑えるため」
 という理屈であれば。国民は納得するというものだ。
 今でも、
「日本への原爆投下が間違っていたかどうか?」
 というアメリカの調査で、間違っていないとする人が過半数以上いるくらいである。
 ただ、これが冷戦における、
「自衛のための抑止力」
 ということを言い出して、核開発に歯止めがかからなくなると、その後に起こった、
「キューバ危機」
 という問題が勃発し、核戦争が現実味を帯びてくると、
「どちらかが、核のボタンを押すと、その瞬間、どちらの国も地上から姿を消すことになる」
 ということが明確になった。
 やっと、そのことに気づいたというべきなのか、そのせいもあってか、やっと、
「核開発というものを続けていけば、それは抑止力であるとともに、世界の終わりという危険と紙一枚を隔てただけの薄いものである」
 ということにやっと気づいたということであろうか。
 その時は事なきを得たのだが、その後の世界では、アメリカやソ連以外でも、核を持つという国が増えてきた。核開発競争の別角度での始まりである。
 しかし、いち早く核開発の危険性に気づいたアメリカなどが、他の国が開発しようとするのを抑止し始めた。国連に訴えて、決議をしたりするのだが、それは発展途上国からすれば、おかしな理屈だった。
「お前らが最初にやったことで、俺たちがその後に続こうとするのを抑制するというのはどういうことだ?」
 ということである。
 しかも、核兵器を失くそうとしても、一度作ったものは、その制御が難しい。廃棄物も簡単に廃棄することはできないのである。
 そんな状態になって、新たな核兵器に対しての問題が起こってくるのだ。
 生み出してしまった責任があるから、あるいは、最初にその被害をまともに受けた世界で唯一であるアメリカと日本は、これからどう進めばいいのかという問題があった。
 しかも、平和利用しようとして発電所を作ったりしたが、十年ほど前まではエネルギーとしての確固たる位置を示していたが、震災による発電所事故の影響で、人が住めなくなるという問題が出てきたことで、今でも、その問題の議論が戦われている。
 他の資源と言っても、日本は資源に乏しい国。致命的だと言ってもいい。

            未来での彷徨

 そんなこともあって、兵器になるもの、肩や平和利用できるものと世の中にはその両面を持ったものがたくさんある。
 TNTであったり、ニトログリセリンなどは、有名なのは爆弾であるが、実は医薬品としても重宝される。。
 特にニトログリセリンなどは、心臓病などの人の発作の特効薬として、携帯していないと危ないという人だっている。
 そういう意味でも、まだ開発されたばかり、いや、まだ承認もされていないタイムマシンという発明品は、果たして兵器になるのか、クスリとしての平和利用になるのか、まだまだ海の者とも山の者とも分からない。
 ただ、よく言われているのは、
「タイムパラドックス」
 を引き起こして、入り込んではいけないゾーンに入り込んでしまうことで、人類の破滅を意味するという話もある。
 もちろん、都市伝説のようなものであろうが、かといって、笑い話では済まされないほどの説得力がある。
 小説やマンガの題材として使われることも多く、それだけに単純に終わらせるわけにもいかない。
 承認を得るにしても、十分なる議論と、そして運用する場合の確固たるマニュアルやトリセツの作成、そしてモラルの認識を使用する人には念を押さなければいけないだろう。倫理的にも科学的にも納得がいくまで話をしないと、使用はできないということにしなければいけない。
 当然扱える人は限られるだろうし、使うにしても、免許なども必要だろう。
 そうなると、研修や教習をするための場所であったり、先生が必要になる。ただ、そのためには先生を作る必要もあり、それを考えただけで、承認されたとしても、実用までにどれほどの年月がかかるのか、分かったものではない。
「タイムマシンを作っただけで、まだ承認されていないのかも知れないな」
 と思った。
 少なくとも柿崎研究所から、大学、そして、そこから文部科学省、そして、政府、国会へと話が行って、そこまでいくと、マニュアルやトリセツの他にも必要となるのが、その運用に関しての法律である。
 実は、これが一番重要なことで、
「タイムマシンを間違った方向に運用しないようにしないといけない」
 ということでの罰則を基準とした法律の制定が不可欠である。
作品名:無限への結論 作家名:森本晃次