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悪魔の保育園

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「ここまでこれだけの被害者がいるのだから、それはしょうがないか」
 と思うとでも思ったのだろう。
 特に自分が被害を受けているということであれば、その考えも無理もないことである。
 警察はそんな心理を巧みについたのではないだろうか?
 八重子の方は、最初から警察の魂胆を分かっているつもりで話を聴いているので、
「さすがに警察は、こういう逃げ足は速いということであろうか?」
 ということで、八重子は、とりあえず、分かったような顔をして聞いていたのだ。
 この、
「数による錯覚操作」
 というものは、以前の日本で流行った、
「世界的なパンデミック」
 に似ていた。
 あの時は、最初はそれほど感染者が多くなかったが、死亡率は高かった。だが、発表は死者数に重きを置いたものだった。
 しかし、変異を繰り返していく中で、感染者が増えてくると、今度は、死亡者数や、重傷者数よりも、
「死亡率、重症化率」
 というものを重点的に口にするようになった。
 ここが、
「言葉のマジック」であり、分母が少ない時は、分子を数でいうようにすると、
「まだこんなに、死亡者が少ないんだ」
 ということで、追及されることは少ない。
 しかし、今度は分母の数、つまり、感染者数が増えてくると、今度は率でいうようになる。人数でいうと、
「前は1、2人が毎日の平均の死亡者数だったのに、今度の変異でが、毎日10人が平均で死んでいる」
 と言えば、国民はパニックになるだろう。
 だから、余計なことを言わず、ただ、国民が慌てない数字を示すには、分母が少ない時は、数で、分母が多い時は、率でいうようにすれば、言葉のマジックに引っかかって、国民は騒ぐことはないだろう。
 ただ、緊急時では、それも間違ってはいない。余計な混乱を招いてしまうと、国民を陽動することになってしまい、できるだけ、混乱を招かないようにしなければならないというのは、当然のことであった。

                 娯楽とギャンブル

 八重子はその時から電話番号は変えていない。警察も、八重子から依頼は受けたが、正直に言って、なるほど、最初の数日は、警官が言っていた通り、見回りを強化していたが、一か月も経たないうちに、その頻度も徐々に減っていって、一か月後には、前に戻っているという体たらくであった。
 もちろん、これは、警察全部がそういうわけではなく、少なくとも都道府警警察単位であるだろう。
 もっと細かく、
「警察署単位」
 かも知れない。
 それだけ、警察というのは、いい加減ということなのかも知れない。
 そもそも自治体単位でやったことで、どうなったかというと、
「世界的なパンデミック」
 の時の病人の対応であったり、ワクチン接種なども、そのほとんどが、バラバラであったではないか。
 なぜか、日本(日本に限らずかもしれないが)という国は、ほとんどが、自治体単位で行っていることが多い。法律に関係することは、都道府県単位になるだろう。
 なぜなら、そのために、
「条例」
 というものがあるからだ。
 元々の根幹になる法律が全国にはあって、その土地にそぐうような条例が、法律を元に作られていることが多い。
 例えば、風俗営業と言われる、
「風営法」
 などがいい例ではないだろうか?
 風営法には、業種によっていくつかのパターンに分かれている。
 例えば、ゲームや娯楽に関してもものであったり、夜の、
「水商売」
 と言われる、飲み屋やスナック。
 さらには、そこに女の子がついて、さらに性風俗の様相が高くなるキャバクラであったり、ソープ、ヘルスのような、性的風俗のお店もある。
 極端にいえば、それらは、営業時間もまちまちである。
 ゲームセンターなど娯楽施設は、午前零時まで、さらに、お酒を提供する店は、深夜時間帯もOKだったりする。
 問題は性風俗店に関してであるが、
「店舗型」
 と言われる、客がお店を訪れるケースの営業は、基本、午前6時から午前0時までということになっている。
 なぜなら、風俗営業法が定める深夜時間帯というのは、
「午前0時から、午前6時まで」
 と決まっているのだ。
 だから、
「店舗側の性風俗店の営業時間というのは、深夜時間帯を除いた時間」
 ということになるのだ。
 ただ、これは、全国的な基準でしかない。風営法がそうなっているからと言って、絶対に午前6時から、0時までを営業時間と決まっているわけではない。
「風営法に定められた時間の範囲内であれば、それでいい」
 ということで、営業時間が明記してある法律は、風営法ではなく、各都道府県の条例ということになるのだ。
 他の刑法などと違って、
「条例の方が強い」
 という数少ない例ではないだろうか。
 ただ、この法律が生きるのは、性風俗営業の中でも、
「店舗型」
 と呼ばれるものだけである。
 つまり、数十年前から流行りだした、
「派遣型」
 と言われる、デリヘルなどというものは、
「24時間、営業が可能だ」
 というものである。
 これも、もちろん、営業時間は、その範囲内であれば、別にかまわない。だから、デリヘルに関しては、営業時間の違反などありえないということであろう。
 さらに、性風俗営業、特に、
「特殊浴場」
 と呼ばれるものは、結構ややこしい。
 都道府県によって、かなり営業できるところを制限しているからだ。
 例えば、
「中洲の1丁目だけ」
 などと、明らかに制限を受けているのだ。
 大阪などは、
「店を開いてはいけない」
 という条例があり、大坂には、ソープランドというものがなかったりするのだ。
 だから、皆、神戸の福原まで行ったり、滋賀の雄琴、岐阜の金津園などに行ったりしているのだ。
 これは都道府県の条例の問題ではないが、
「ソープランド」
 というのは、結構いろいろ規制がややこしいという。
 昔であれば、必ず、
「サウナのような施設がなければ、営業してはいけない」
 というものであったり、
「新しく、新規参入してはいけない」
 という法律もあるので、前の店が店舗を他に移したり、廃業した場合など、どこかの店が別館という感じで作った時、店のコンセプトを出そうと思い、思い切った改装はできないのだ。
 つまり、
「新店ではない」
 と思わせなければならないので、
「改装も、できるかぎり地味に行わないといけない」
 ということである。
 そうなると、店の営業も、こじんまりとしてくる。
「自治体や国は、そうやって、性風俗業界をいつの間にか衰退させて、そういう店を亡くしていこう」
 と考えているのかも知れない。
 そんなことを考えると、
「各都道府県の条例で、勝手にやっていいというのは、本当は、業界を衰退させようという思いを感じさせないようにしているからではないだろうか?」
 あくまでも、勝手な想像なので、実際のところは分からないが、
「新規参入させてはいけない」
 ということは、そういうことなのだろう。
 逆に、同じ風俗営業法に関係があるところでの、
「パチンコ屋」
 というのは、どうなのだろう?
 昔から、
「三店方式」
作品名:悪魔の保育園 作家名:森本晃次