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骨散る時

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 たとえ話に害虫を用いたが、言葉のあやというわけではなく。まさに「害虫」である。この言葉こそ誇大解釈をすることで、焦点と噛み合うのではないかと思えたのだ。
 問題のすり替えをすると、すり替えられた方は、いわゆるとばっちりである。またしても、他に責任転嫁をしようとするかも知れないし、すでに遅いと考えて、他の方法を講じようとするかも知れない。
 それを思うと、責任のなすりつけ合いという行動がいかに愚かなことなのか、それを政治家が行えば、まず、政治家はマスコミに対して情報操作を試みるだろう。
 マスコミであれば、そのような情報操作に加担することはないのだろうか、悲しいかな、日本のマスコミはマスゴミが多いので、すぐに政治家たちに利用されてしまう。何が正しいのかなど、マスゴミから判断しようとするのは、一種の愚の骨頂と言えるのではないだろうか。
 特に最近では、SNSなどのネットによる意見などが自由に寄せられるようになり、当事者とすれば、その言葉に一喜一憂を繰り返したり、意見が誹謗中傷となって、その犠牲になる場合も、それこそ社会問題として、大きくクローズアップされているのだ。
 そんな状況を、マスゴミとしても報道しないわけにはいかない。だから、いかに自分たちの清掃性を訴えようとするかが焦点になってくる。
 下手に擁護しようものなら、誹謗中傷の餌食になる。自分たちを何とかごまかして、他に転嫁しようとするかも知れない。
「ん? ということは?」
 そう、前述のように、政治家が自分たちマスゴミを利用して行った情報操作を、自分たちにも降りかかってきて、対岸の火事ではなくなってしまうということだ。
 つまりは、
「ミイラ取りがミイラ」
 になってしまい、一歩間違えると負のスパイラルが、本末転倒な結果を引き起こしかねないであろう。
 つまり、政治家よりも、マスゴミの方が罪が重いと言えるのではないだろうか?
 話は逸れたが、ゆかりのいう、
「都合のいい女」
 という表現を聞くと、思わず世の中の仕組みの理不尽さを思わずにはいられなかったのだ。
 ゆかりは、看護婦として病院に勤めていて、その様子を見ていた男がいた。その男は変質者で、どこをどのように隠していたのか分からなかったが、ケガをして入院してきた時も、普通に外科病棟での入院だった。
 そもそも、病院というところは看護婦を見る目が嫌らしい人が多いというのは、ビデオなどの影響で、どうしてもそう思われがちではないか。これは看護婦に限ったことではなく、スチュワーデスや、女子高生の制服にも言えることである。
 特に企画もののビデオなどでは、そういう服を着た女優が蹂躙されたりして、変質者や、その予備軍に対して煽ったりするというのが、いつの時代であっても問題になっていただろう。
 実際に、そういう事件も過去にはいくつもあった。変質者による事件ということで、犯人の部屋に証拠物を押収に行った警察が、カルトなビデオの山を見つけて驚愕したという事件は一つや二つではなかったはずだ。
 しかも、その犯罪は次第に少年犯罪として取り上げられることもあり、近い将来、犯罪者の少年と成人との間の年齢として、二十歳から十八歳にひきさげられることに決まっているのだ。
 最初は選挙権などを二十歳から十八歳に引き下げたが、今度は民法における成年年齢をやはり二十歳から十八歳にするように、二0二二年四月より施行されることに決まっている。
 つまり、施行前の法律を含め、刑法、少年法、民法と、法律で定められた年齢がすべて、似十歳から、十八歳に引き下げられることになるのだ。
 今までの、少年Aではなく、実名が晒され、少年刑務所ではなく、一般の刑務所に収監されるということになるのだ。
 もちろん、裁判続行中のものようなものは細かい問題が残るが、すべての面で年齢が統一されるということになる、
 今までであれば、すべてが二十歳からだった。一部の例外もあったが、その例外として一般的なものとしては、民法上の問題があった。
 つまり、
「婚姻している男女は、民法上の成人とみなされる」
 ということである。
 つまりは、女性の場合であるが、民法上は十六歳から成人ということもありえたということである。
 しかし、今度の民法改正によって、実は、
「男女で結婚できる年齢が統一される」
 ということである。
 従来の男性十八歳は変わらないのだが、女性が今度は十八に引き上げられ、それによって、基本的に、すべてにおいて、
「成年年齢というのは、法律上、すべてが十八歳に統一される」
 ということである。
 ただ、誤解されては困るのが、喫煙や飲酒で、これは従来通りに十歳であり、今まであった、
「未成年者喫煙防止法」
 と呼ばれるものが、
「二十歳未満の者の喫煙の禁止に関する法律」
 という名前に呼び変えられる。
 要するに、身体に害を及ぼすと言われるものは、変わりがないということである。
 このような法律が改正される背景にあったのは、やはり社会の複雑化による凶悪犯罪の低年齢化という問題も少なからず大きな原因になったことは否めないであろう。
 いくら法律を整備しても、社会のそもそもが変わっていなければ、犯罪の性質は変わらない。今の世の中でよくなることは考えにくく、どんどん悪い方にと向かっていくのは無理もないことなのかも知れない。
 それに伴って、政府の腐敗も深刻化し、世間と政府の隔たりが顕著になってくると、実に暮らしにくい社会となるだろう。
 しかし、社会にはいろいろなジレンマや矛盾が存在し、どうしようもないこともある、その象徴的な言葉として言われるのが、
「警察というのは、誰かが殺されたりしなければ、動いてはくれない」
 ということであった。
 ゆかりが、松永の小説の何が好きなのかというと、
「人生の悲哀を感じさせる小説なんですけど、私にとっては、励ましになるところがあるんです。先生の小説は、確かに人生の悲哀を感じさせるんですが、先生の悲哀を感じることができないんです。だから、私は先生の小説に惹かれるんです。一般受けとかは私にとってはどうでもいいんです。私は真剣に救われたいと思っている時に出会った小説だったんです」
 というではないか、
 最初何を言っているのか、よく分からなかった。
「何を言っているんだい?」
 と聞いてみると、
「先生は、自分の考えや経験から小説を書かれているでしょう? しかも、自分の経験からしか生まれないものがたくさんある。だから小説を書き続けられると思っているんですよ。だから、先生のお話は人生の悲哀を感じさせるけど、実際には先生の経験を生かした小説になっている。その分、経験以上のところは読んでいて、ほっこりさせられるんです。人間の悲哀を描きながら、ほっこりとした気分にさせてくれる小説というのは、なかなかないですよ。それが私には気に入っているところなんですよ」
 ということだった。
 プロの小説家としては、失格ということを言われているのだろう。そのことはゆかりにも分かっているような気がする。遠まわしにだが、
「あなたはプロにはなれない」
 と暗示させられているように思えてならない。
作品名:骨散る時 作家名:森本晃次