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神の輪廻転生

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 証明したとしても、信憑性がないので、それを証明とは言えないというまるで、禅問答のような話だった。
「ヘビが自分の尻尾から、自分を食べていけば、どうなるか?」
 というようなものであり、
「タマゴが先か、ニワトリが先か」
 という言葉もあったのを思い出させる。
 ここで、死後の世界について、まりえは一つの考えを持っていた。
「死後の世界は、別の世界にあるんだと思う」
 と、里穂と話している時に行っていた。
「どういうことなの?」
 と里穂がいうと、
「だって、死んだら天国とか地獄に行くって考えるのがこの世界なんだけど、輪廻という考えもあるの。それは、天国にも地獄にもいかずに、生まれ変わるという考えね。それは何も人間に限ったことではなく、何に生まれ変わるか分からない。それを私たちの世界では前世と呼んでいるんだけど、その前世はあなたのいう別の世界だとすれば、理屈が通じる気がするの。だって、向こうにはもう一人の自分がいるんでしょう? その人は同じ時代に存在しているかも知れないけど、世界が変わるんだから、時空だって超えられる。そう思うと、私はこの世界以外を知っているように思うことがあるの。時々感じるんだけど、
『この景色はどこかで見たことがある』と思うんだけど、思い出せないことね。それをここではデジャブと呼ぶんだけど、それが前世と結びつけて考える人もいるの。私はそれをなまじ迷信だとは思えないの。的を得ているんじゃないかって思うのね」
 とまりえがいうと。
「じゃあ、他の世界のあなたとは会えないということ?」
「ええ、それこそ、前世であったりするその人が、同じ世界に存在するというのは、いわゆるパラドックス違反になるのではないかしら?」
 とまりえは言った。
「パラドックスというのは私たちの世界でも存在するけど、なるほど、面白い意見ね。じゃあ、死というものに対しての考え方も、それぞれの世界によって、違うものだと考えられるということなの?」
 と里穂がいうと、
「私はそういう風に思うのよ」
 tまりえがいった。
「私は答えを知っているんだけど、いうわけにはいかないの。これは世界を超越する時の大きな問題で、絶対的なタブーなのよ」
 と、里穂は言った、
「じゃあ、私も聞かないけど、私はこういうことを考えている別世界のあなただということを思っていてほしいのね」
 とまりえがいうと、
「あなたは、私の想っていたような人だわ」
 と、里穂は感心してニコニコしていた。
 私は以前、里穂から相談を受けていた。
「私は、今度もう一人の自分であるまりえさんに会いに行こうと思うんだけど、どう思われますか?」
 というではないか。
 私は神であるが、この世界では、神と人間が対等に会話することができる。
 この世界において、確かに私は神であるが、里穂や山口のような人間を超越した存在だとは思わない。その理由は、
「同じ世界の人間だから」
 という意味である。
 厳密にいえば、確かに能力的には人間たちに比べれば我々神の方が万能ではあるし、いろいろなことが生まれながらに知識として入っている。だからこそ、その選択肢は人間よりも正確で、間違いはないだろう、
 だが、我々神も人間を尊敬している。人間には神にない可能性があるのだ。
 神はもうほとんど完成されているので、可能性という意味ではほとんどが皆無だ。だが、人間はこれからの成長によって、我々神をしのぐかも知れない。
 我々神はそれでもいいのだ。
 人間には、神のような能力はないが、考える力は神よりもある。知識による選択は人間も我々には適わないだろうが、かと言って、努力による選択は我々にはできない。そんな人間との共栄は我々神の望むところである。
 他の世界にも神というものが存在しているところはある。しかし、人間が創造する神とは違っている。他の世界の人間は、神というものを創造することはできるが、それは、
「神などいない」
 という思いがあるからできるのだ。
「神をも恐れぬ」
 という言葉があるがまさにその通りで、前述のように、神という存在を勝手に自分たちの詐欺行為に使ってみたり、洗脳するために利用するというくらいの浅はかなことしかできないのだ。
 そんなことをするから、他の世界の神は表に出てくることができない。神が人間を見捨てた世界と言ってもいいだろう。
「神がいれば、戦争も諍いもない世界になるものを」
 とも思うが、権力を持った一部の人間の間では、戦争や諍いすら金を生み出すものとして、人の命を何とも思わず、自分たちの私利私欲のために利用する。そんな恐ろしい連中も、人間なのである。
 神が出てこないから人間も勝手に神を名乗る。そんな連中が一番神を信じていないのだろう。
 それこそ、市民を先導するために、
「我こそが神だ」
 とまで言い切るだけの恐ろしさ。
 一体誰にそんな傍若無人な状態を止めてくれるというのだろう。言い方を変えれば、
「傲岸不遜」
 とでもいうのだろうか、つまり、
「おごり高ぶって人を見下したり、思いあがって謙虚さがない」
 そんな状態になるのだ。
 そうでもなければ、人がどうなろうとも自分の利益のためだけに走るなどという悪魔という言葉を使うことで悪魔に対して悪いと思うほどの人間が、どのようにすれば出来上がるというのか、知っている者がいれば教えてほしいものである。
 紙である私が知らないのだから、相当なことなのかも知れない。
「いや、逆に人間社会に蔓延っている悪魔のような人間は、やはり人間にしか分からないことだろう」
 と思う。
 そんな人間は分からないのだから、神も分かるわけはないとも思える。
 この間、里穂と話した時、そんな話をしていた。
「あのような悪魔に対して失礼なくらいの悪魔的な行動ができる人間も、生まれ変わるんだろうか?」
 と言っていた。
 他の世界の人間にはいってはいけないことだが、一部だけを明かすと、人間は生き返ることができる。別の世界でのことなのだが、そう、この間まりえが言っていた話は、ほとんど的を得ていたと言ってもいい。ただ、正解というわけではないのだが、そこも微妙なところであった。
 私はまりえには言わないという約束で(約束しなくても言ってはいけないのだが)里穂の質問に答えた。
「いや、生まれ変わることはできないよ。里穂も知っているように、そういう人間は地獄に落ちるのさ。地獄に落ちた人間は、二度と這い上がってくることはできない。つまり、天国に行った人しか、生まれ変われないんだよ」
 と言われた。
「でも、生まれ変わった時って、前の意識も記憶もまったくないわけでしょう? ということは、前世ではいい人だったかも知れないけど、生まれ変わってからの人生は、極悪人だということもあるわよね?」
「ああ、もちろんそうだよ。そういう人間は、死んだら地獄に行って、二度と生まれ変わることはないんだ」
 と私は言った。
「じゃあ、死後の世界を含めない世の中というのは、どんどん人が減り続けるということ? それに地獄だって、生まれ変わるわけではないのであれば、地獄はどんどん人が増えていくことになるよね? それが理屈だと思うんだけど」
 と里穂が言った。
作品名:神の輪廻転生 作家名:森本晃次