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ポイントとタイミング

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 まさか渦中のオンナがまさか、こんなところにいるわけはないという理屈と、整形にそれなりの自信があるということであった。
 彼女は実は結婚前の学生時代。アルバイトで風俗にいたことがあったので、
「昔取った杵柄」
 とでもいうべきであろうか。
 そのおかげで店では、新人なのに、人気があり、お客さんのリピーターも多かった。その分、姉御肌のところもあり、売られてきた竜二の彼女に同情し、優しく接していたのだ。
 本当に彼女は可哀そうな身の上で、これほど風俗が似合わない女性もいないと思わせるところで、彼女が売られてきたことはすぐに分かったのだ。
「私、あいり、よろしくね」
 これが奥さんの源氏名だった。
「あっ、わ、私は、あみといいます。ど、どうぞよろしくお願いします」
 と、礼儀正しい姿に、あいりは感心した。
「あなた、初めてなの?」
「ええ、実は売られちゃったんです」
 とオドオドしている割に、いうことが大胆なあみに、あいりは少しきょとんとしたが、息が合いそうな気がした。
 二人hささっそく仲良くなったが、店では自分の部屋に一日中いることになるので、終わりの時間が会う時しか、一緒に帰ることはなかった。それでも、大体の時間は決まっていて、あみの都合にあいりが合わせることで、同じシフトを結構組んでいた。
 一緒に食事にも行く中になり、そのうち、あみの素性があいりにも分かってくるようになった。
 あみが、まさかあのチンピラの彼女だったとは思わなかった。彼は殺されてしまったことも知っているようだが、もういまさら彼下の思いが残っているわけでもなく、それよりも、言あの自分のたちはを自虐することに精いっぱいで、余計なことを考える暇すらなかった。
 毎日、好きでもない男の相手をさせられることに屈辱を感じていたが、
「でもね、たまに童貞の男の子なんかが来るとね。お姉さんが教えてあげるなんて気分になって、結構楽しいわほ」
 というと、
「そんな、私はあいりさんのように、男性に癒しを求められるような大人の女はないわ。しかも、若くてかわいいならまだしも、私のようにおばさんだったら、どうしようもないわ」
 と言って、あみは少し首を竦めた。
 おばさんということであれば、あいりの方が年上である。あみは、あいりに比べて三つほど年下だった。しかし、生来の暗さからか、年齢としての若さが感じられない。そんなあみをあいりはm何とかしたいと思うのだった。
「大丈夫よ。こっちがオドオドするのではなく。相手と一緒に楽しむと思えばいいのよ。だって、相手だって、初めての男の人だったら。こっちをどんな人なんだろうって、ドキドキしながら来てくれるでしょう? そして、リピーターだったら、自分のことを気に入ってくれているわけだから、自信を持てばいいのよ。可愛がってあげるというくらいの気持ちになれれば、お互いに楽しいものよ」
 とあいりは言った。
 あいりの話のおかげか、あみにも結構リピーターがついた。本指名ランキングでもbエストファイブに入るくらいっで、みるみるうちに、彼女は貫禄がついていった。
「あみちゃんは、売られてきたと言っていたけど、付き合っていた彼氏に売られたの?」
 と聞くと、
「いいえ、彼はそんなひどい人出はなかったわ、ただ、組織の何かを知ってしまったんでしょうね。失踪して、見つかった時には殺されていたわ」
 というではないか。
 そこまではあいりも知っている話だったが、あいりの方としても、どうしてここにいるのかを全部は話せないが、話せると思ったところまで話をした。
「じゃあ、あいりさんは、組織から逃げているというの?」
 と言われて、
「いいえ、逃げているという感覚じゃないわ。もし、逃げるつもりなら、もっと遠くの誰も知らないところに逃げると思うの。でも、私にとってここは私に関係のある場所でもあるの。私の殺された旦那が、この組織を探っていたのよ」
 というと、
「じゃあ、お互いに彼氏であったり、旦那さんを殺されたことになるのね? あなたは、それで復讐を企んでいるというの?」
 と訊かれて、
「いいえ、違うわ。私の旦那は組織に殺されたわけではないと思うの。組織がやったのであれば、もっとうまく死体の処理をしたりするわ。やっていることは大胆なんだけど、その結果はお粗末なのよ。完全に素人のすること、それを思うと、殺された旦那が不憫でならないわよね」
 t、あいりは言った。
「一体、この事件はどういう事件なのかしら? あいりさんには、事件の全容が掴めているというの?」
 と訊かれて、
「いいえ、すべてが分かっているわけじゃない。そういう意味で、あなたに出会えたのは私にとってよかったことなのよ。だから、今度はあなたが私と出会えてよかったと思わせたいと思っているのよ」
 というあいりを、あみは頼もしい目で見つめていた。
「私は助かるのかしら?」
「ええ、大丈夫よ。もう犯人が警察によって検挙されている頃かも知れないわね」
「犯人の目的って何だったのかしら? あの人は、ただ利用されただけだったんですよね?」
「ええ、結果としてはそういうことになるわね。でも、元々は犯人がかつて詐欺を働いていたことを、編集者の人に嗅ぎつけられたことから始まっているのよ。その編集者というのが、二人目の犠牲者となった私の旦那というわけよ」
 とあいりは言った。
「じゃあ、犯人と私の彼との関係は?」
「実はあなたの彼だった男性は、かつて、人殺しをしていたの、二年前に犯人がマインドコントロールをしていた女性、彼女が性格的に少し神経質すぎたのね。マインドコントロールが効きすぎて、被害妄想がひどくなり、どうしようもなくなったところを、犯人はあなたの彼に押し付けたの。そして、あなたの彼はその女性を毒殺した。でも、彼はきっと何も知らなかったのね、それを犯人に見つかったと思って、あとはその犯人の思いのままになっていたということよ。私の旦那はそのことも分かっていた。極秘で、その時に殺された名古屋紗耶香という女性が殺されたことを発見した。もちろん証拠もないので、犯人に近づく前に、実行犯のあなたの彼に近づいた。この事件の大きな特徴は、犯人がある程度特定されているのに、まだ犯罪がすべて表に出ていないということ、まだまだ余罪が出てくるかも知れないわ」
 と、あいりは、言った。
「そんなことがあったなんて……」
 とあみは、彼はただのチンピラで、
「どうせ、大したことのできない小心者だ」
 と思っていたが、小心者というのは本当なのだろうが、それを犯人にここまで利用されるというのは、自分にとっても、
「どうしてあんな男を好きになったんだ?」
 と感じさせるものだった。
 しかも、自分はそんな男のために、売られてしまっている。悲劇のヒロインと言っても、ここまでさせるとは、
「神も仏もないものか」
 とあみは思った。
 世の中ここまで不公平であっていいものか、犯人はとことんまでまわりを不幸にしている。自分の目的を達成するために露骨なまでの貪欲さが、あのオンナにはある、
「人を見かけで判断してはいけない」
 だって?
作品名:ポイントとタイミング 作家名:森本晃次