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因果応報の記憶喪失

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「ああ、この間、意識不明の女性が運ばれて、その人が記憶喪失で、しかも、何かの薬物を摂取しているということで、入院中のはずなんだ。薬物の問題があったので、私が最初に様子を見に行ったんだけどね。その後に麻薬捜査班が、いっているとは思うんだが。私は最初に川越博士と話をして、さすがに博士と呼ばれるだけの人物で、この人に任せておけば大丈夫だと思ったくらいだったんだよ」
 と、浅川刑事は言った。
「そうでしたか。その人は意識は戻ったんですかね?」
 と訊かれて、
「意識は戻ったらしいんだけど、記憶を失っているうえに、まだ薬が効いているのか、ハッキリとはしないそうなんだ。それは博士からも一度連絡があったし、麻薬捜査班の方からも聞いていることなので間違いはない。ところでその第一発見者の女性は記憶喪失になったということだけど、まさか薬物によるものではないだろうね?」
 と言われた桜井刑事は、
「まさかそんなことはないはずです。もしそういう話があれば、博士の方から最初にそういうお話があるはずですからね。しかも、浅川さんから聞いた今の女性のこともあるわけでしょう? 警察への報告は必須でしょうからね。だからこそ、最初に浅川さんにも通報されたんでしょうからね」
 という話を訊いた浅川刑事は。
「それはもちろん、その通りだ。私も博士の人格というものは尊敬に値すると思っているので、このあたりの話は博士に任せながら、我々は警察として、事実を見つけていくだけだと思っているんだよ」
 という話に、桜井刑事も同じ意見を持っているようで、
「私もそう思います。ただ、今回は殺人事件が絡んでいるので、ちょっとややこしい気はしますが、私は第一発見者の彼女も気になっているんです。たぶん、何かを知っているのではないかという感じもあるし、知っているのであれば、もしそれを封印したままになれば、彼女の中で記憶にはないけど、何かのトラウマが残ってしまうと、それは精神的に大きなダメージとなるのではないかと思いますからね」
 と桜井刑事は、弘子に同情を寄せているようだった。
「ところで、その後の捜査の方がどうですか?」
 と、桜井刑事は話を変えた。
「ああ、こっちでは捜査本部ができて、鑑識からも報告があったりして、今は近所の聞き込みだったり、被害者の交友関係、さらに副社長や、工場長の話を訊いたりしているよ」
 という浅川刑事に、
「誰か、何か怪しいと思われる人はいましたか?」
 と訊いてみたが、
「今のところは怪しいと思われる人はいないね。少し事件は膠着状態に入るような気がするんだ」
 と浅川刑事が言ったが、考えてみれば、事件というものは、途中で停滞することは往々にしてあるものだ。
 そのことは、大体の捜査員が分かっていることで、ほとんどの場合に類に漏れないと言ってもいいだろう。
 それを思うと、今のところ、桜井刑事は少々長く病院にとどまっている方がいいような気がした。他の捜査は他の捜査員が行っているのだから、最初に事情聴取をした相手が体調を崩したのは自分の責任ではないないとはいえ、若干の責任を感じていないわけのない桜井刑事にとったは、浅川刑事の言葉はありがたいものだった。
 とりあえず、浅川刑事から少し話が訊かたことはありがたく、とりあえずは、病院で一息つくののいいかと思い、電話を切ってから、急に腹が空いてきたのに気が付いた。時間もすでに昼近くなっていたので、まずは食堂で何かを食べようと思い、行ってみると、まだ中は少なく、ゆっくりと食べれることが分かると、少し安心した気分になっていた。
 救急車か搬送された形で運び込まれた中に自分も一緒に付き添っていたという緊張感もあった。
 何しろ病院というと、警察が来る時というのは、あまりいい状況の時ではないのが分かっているので、今日もいつもと同じような緊張感を抱いたままやってきて、捜査に戻ろうにもまだ回復していない相手を待つ必要があり、捜査本部も自分を病院で待機するように話をしてくれている。捜査も気にはなるが、一旦落ち着いた気分になったのも事実であり、こんな気分になったのって、最近ではあまりなかったので、新鮮な気がしていた。
 結構広い職層で、さすがに大学病院。自分が行っていた大学の学食よりもかなり広く感じられた。しかも病院という性格上、明るさが十分に取られていて、精神的にも明瞭な感じになるのが、さらに桜井に安心感を与えた。
 気が付けば今日は朝から何も食べていない。まだ二十代の桜井刑事はまだまだ大食漢の年齢であった。
 メニューを見ると、ステーキがあった。ランチにステーキというのも贅沢な気もしたが、目の前で貧血気味に倒れた人を見た後だけに、ステーキくらい食べた方がいいようあ気がした。
 そもそも、殺人事件の捜査で、ナイフで刺された人の現場を目の当たりにしているのだから、本当ならステーキはきついのかも知れないが。さすがに今まで何度となく刺殺死体や、三逆な殺害現場を見てきたことで慣れてきてしまっているのかも知れない。しかし、本当はそれ以上に空腹感には勝てないというが本音で、
「ステーキ定職を一つ」
 と頼んでしまっていた。
 少し待っていると、目の前の厨房で焼いているのが見えた。焼いているのを目の当たりにすると、食欲は最高潮で、出来上がって鉄板に乗せられたままトレイに乗せてくれた肉は、ジュージューという食欲をそそる音を立てていた。
 トレーを持って、窓際のテーブル席に腰を下ろすと、贅沢に天井の高いスペース全体がパノラマとなっていて、巨大スクリーンを思わせるビューが、桜井刑事のホッとした気持ちをさらに落ち着かせる気がした。
 ビューの表を見ていると、遠くから見ているよりも、目の前にガラスがある方が、立体的ではなく平面的に感じられる。つまり距離感というよりも、物体の大きさが目立って感じられ、そこに写っている人が、皆静止しているかのように感じられ、不思議な状態を醸し出していた。
 目の前に広がる大きな公園では、看護師が車いすを押して、患者を散歩させている姿で、そこには病人を思わせない寛ぎ感を思わせるほどだった。看護師の白い服が眩しく、人によっては点滴をぶら下げたまま、その針が腕に刺さっている光景が見られたが、普段のような痛々しさは感じられず、ポカポカ陽気も手伝ってか、まるで睡魔が襲ってくるかのような錯覚に陥ってしまっていた」
 それを感じた桜井は、
――俺はどうしちまったんだろう?
 と感じていると、鼻をくすぐるようなステーキの匂いに誘われて、フォークとナイフを手に持った。
 表からの光を見ると、ナイフやフォークに反射している光を感じると、
――この光に彼女は反応したんだろうか?
 と感じた。
 ただ、話をしていて気になったのは、目をしばたかせていたので、眠たいのを意識していたため、起きなければいけないという意識からの行動だったのか、それとも、何か思いださねkれ場いけないことを思い出せずに、必死に思い出そうとしていたのか、そんな様子に見えた桜井だった。
作品名:因果応報の記憶喪失 作家名:森本晃次