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短編集123(過去作品)

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 結局離婚することになった。一応の協議離婚であったが、どこか釈然としない。このまま不穏な関係を続けていても、お互いに時間の無駄になるというのが結論として分かったからで、本当に修復できなかったどうかなど、今となっては分からない。
「どうして元嫁のことなど思い出したんだろう?」
 今、敗者復活戦の中でステージにいるが、今日は前の時と違ってスタジオが見渡せる。
「あれは」
 そこに見えたのは、元嫁と、前の会社で上司だった人だったが、その表情には驚きが浮かんでいたが、余裕にも見える顔が癪に障った。
 人生の敗者復活戦ともいうべき曲がり角に差し掛かっているように感じたが、一体自分は今ここで何をしているというのだろう。
 問題文が外部に漏れる不祥事があったことが後日発表されたが、坂上は関係ない。
 敗者復活戦に出場することを自らが拒み、収録途中で意識を失ってしまったのだ。気がつけば医務室のベッドの上、復活戦の勝者が決まった瞬間だった。
 観客席を覗くと、そこには先ほど確かにいたはずの元嫁と上司の姿は消えていた。今から思えば錯覚だったようにも見える。
「敗者復活すら自らで拒むなんて」
 その気持ちが錯覚を見せたに違いない。だが、それが結局自分の身を守ることにもtsながったのだから、人生何が幸いするか分からない。それこそ、
「人生いたるところに、敗者復活戦が転がっているのだ」

                (  完  )
 

作品名:短編集123(過去作品) 作家名:森本晃次