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間隔がありすぎる連鎖

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「そのあたりは何とも言えないですが、自分が関係のない死体迄引き受けなければいけないというのは、犯人にとっては大きな計算違いだったでしょうからね」
「ただ、それはあくまでも、犯人が別にいると考えた場合のことで、連続殺人だと考えた方がよほど自然な感じがするんだけどね」
「それは、やはり被害者の身元が分からない限り何とも言えないですよね。あの倉庫が狙われたというのも何かがありそうな気がするので、明日、あの会社の関係者で行方不明になった人がいないかを聞いてみましょう」
 ということになり、その日は、もう深夜になっていたこともあって、とりあえず、九時ごろに、松川コーポレーションに行ってみっることにした。
 だが、翌日の九時二なって昨日の二人の捜査員がK支店に赴いた時、喧騒とした雰囲気がすぐに分かった。
 それは、昨日の事件に対して皆がピリピリしているからではなく、もっと切羽詰まったような感じだった。もし昨日の事件に対しての緊張感であれば、こんなに必要以上に慌ただしくはないだろう。
 緊張感で張り詰めた空気というよりも、完全に皆が浮足立っている様子だったからだ。
 さすがに横山警部補もその様子がただならぬ雰囲気なので、自分も戸惑いを隠せなかった。
「どうしたんですか?」
 と若い刑事が聞くと、
「ああ、刑事さん、実は今月から本部から来ている二人のアルバイトがまだ出社していないんですよ」
 というではないか。
「それでそんなに慌ててるんですか?」
「ええ、まあ、昨日のようなこともありましたし、その二人というのは、実は現社長のご子息に当たられるんですよ。まだ大学生なんですが、将来は会社を背負って立つことに間違いはないので、大切な研修だったんですが、まだ来ていないというのはおかしいですからね」
「今までにも遅れたことは?」
「ありませんでした。ちゃんと始業十五分前にはやってきていて、挨拶や掃除をしていた真面目な学生でしたからね。昨日の火事のこともあるので、こちらも緊張していたら、嫌な予感が当たったような気がして、怖い気がします」
「家には連絡を入れてみましたか?」
 と言われて、
「いいえ、二人は本社からの研修ですので、ホテルに泊まっているんです。まだ始業時間から少ししか経っていませんので、本来ならもう少し待った方がいいのかも知れませんが、今庶務の人に、ホテルに連絡を取ってもらっています。ああ、ホテルと連絡が取れたようですね」
 と言って、庶務の人の話を訊いてみることにした。
「今、ホテルにと言わせてみたんですけど、どうも二人とも昨夜から帰ってきていないようです。もう一週間以上もホテルからの通勤になっているので、ホテルの方も分かっているのか、一晩くらい帰ってこなかったとしても、大学生とはいえ、大の大人ですからね。遊んでくることもあるだろうということで、気にはしていなかったそうなんですが、会社から連絡を入れると、ホテルの方も気になっているようです」
「ところで、その二人というのは、どういう人たちなんですか?」
「実は社長の異母兄弟に当たるんですが、一人は二十歳で、一人は十八歳になります。体格としては、二十歳の方の青年は、サッカーをやっているので、身長は高いんです。そしてもう一人は華奢な感じの男の子です」
 ということだった。
 それを聞いた警察の人は、顔を見合わせて驚いていた。まだ他の人には話してはいなかったが、二体の焼死体が見つかったことは新聞にも載ったので分かっていたが、身体が大きな方と小さな方がそれぞれいるというのは、ただの偶然であろうか?
 ただ、横山警部補はその二人が殺されたということはないような気がしていた。少なくとも一人、身体の大きな方の黒焦げ死体は、死後三日は経っているというではないか。今朝仕事に来ないというだけでこれだけ騒ぎになっているのだから、三日もいなかったなどは考えられなかった。
 実際に、二人は毎日、皆勤で勤務していたという。少なくとも身体の大きな方は、被害者ではないということであろう。
 だが、もう一人は違う。弟の方の身体が小さいというが、分かっているので、弟はひょっとすると、焼死体の一人かも知れない。
 それにしても、二人で姿をくらましているというのはどういうことであろうか? どこかに一緒にいるのか、それとも本当に殺されてしまっているというのか、ただ、それなら身体の大きな男が死後三日も経っているというのはどういうことか?
 ひょっとすると犯人は、焼死してしまい、真っ黒こげになってしまうと、死亡推定を大幅にごまかせるとでも思ったのだろうか?
 ただ、警察の方の考え方としては、それもありえるだろうという意見もあった。
「警察の科学捜査を舐めてもらっちゃあ、困るな」
 と言っている捜査員もいるくらいだった。
 だが、二人が出社してこないという問題とは別に、いや、関係のないわけではない事件が、そのすぐ後に起こったのだった。
 警察の相手をしているのは、支店長であったが、そこへさっきの人が慌てて入ってきた。
 そして、支店長に何やら耳打ちをしたのだった。
「えっ、なんだって? それで木下課長はどうしたんだ?」
 と、ただごとではなさそうな表情で、社長は明らかに取り乱して、耳打ちした庶務の社員に怒鳴りつけるようにそう言い切った。
「ええ、木下課長は、大丈夫なようです」
 という話を訊いて、さすがに聞き捨てならない話だと思った横山警部補は、支店長を訊きただした。
「支店長、今の話はどういうことですか?」
――黙っていられては困る――
 と言いたげだった、
 何しろ殺人事件なのだから、どんな些細なことでも話してもらわなければ困るという剣幕である、
「実は……」
 と、一瞬考えてからすぐに開き直ったかのように、
「実は、今この研修期間の監視として、本日より社長が来られることになっていたんですが、その社長が誘拐されたということなんです。迎えに行ったのはうちの木下課長だったんですが、何やら、木下課長に催涙ガスのようなものを浴びせて。前が見えないようにしたうえで、覆面をした二人組の男に、車ごと拉致されたということでした」
 というではないか。
「えっ、それじゃあ、昨日は使っていない倉庫で火事があったうえに、今日は社長が何者かに誘拐されたということですか?」
「そういうことになります」
 二人の息子も行方不明で、しかも、社長は確実に誘拐された。
 これは一体どういうことになるのだろうか?
 社長は昨日、皆で夕食を摂り、九時過ぎくらいになってお開きになると、支店長と落ち合って、行きつけのスナックに行った。途中から木下課長も合流したのだが、お店が閉店寸前くらいまでいたのだった。
 その後真夜中であったが、火事の話を訊いて、支店長と社長は一度火事の現場にやってきた。すでに火事は鎮火していて、真夜中だったこともあって、事情聴取は朝から行うことになっていたので、横山警部補がやってきたのは、支店長に事情を聴くことも予定としてあった。
作品名:間隔がありすぎる連鎖 作家名:森本晃次