短編集116(過去作品
「二年かかって、またここで出会ったということね。ちょうど一年前が折り返し地点かしら?」
「そうかも知れないね」
その日は、過去の恐怖について、走馬灯のように思い出された。走馬灯はまた、同じものを写すであろう。しかし、せっかく戻ったことに気付いた二人、回り道をした分だけ、過去を思い出し、過去からの脱却ができたのかも知れない。
店を出て、もう一度天満宮へと参る二人、今度は将来についてお祈りをした。ひょっとして今裏の井戸に行けば、今日だけは湿気を感じることがないかも知れない……。
( 完 )
作品名:短編集116(過去作品 作家名:森本晃次