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短編集111(過去作品)

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 数ヶ月が経ち、駅前の絵が完成する。どこかで見たことがあるような絵だが、夢の中で見た絵に違いない。
 夕日を見ていると、身体に気だるさを感じ、空腹感を覚える。まるで本能のままに生きている自分を感じる。
 考え事をするのは今でも変わっていない。絵を見つめていると、考えていることが小さく見えてくるのだ。それは今まで見つめていて次第に視界が狭くなってくることを思い出すかのようだが、色は相変わらず濃い色であった。
 しかしその濃さは暗いものではなく明るさを含んでいる。欝状態から抜け出す時を思い出すようだ。
――他力本願のような大きな気持ちでいればいいんだ――
 完成した絵を見ながら、そう感じる弘樹だった……。

                (  完  )

作品名:短編集111(過去作品) 作家名:森本晃次