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予知夢の正体

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「この間、ネットを見ていたんだけど、何か犯罪の依頼を受けるとかいうような内容のサイトがあったんだ」
 と言い出しっぺの人が話した。
「それって、よく、一人で自殺をするのが怖いので、人を募って一緒に死のうという類のものなのかしらね?」
 と一人の女の子が言った。
 すると、もう一人のお琴の子が口を挟んだ。その様子は少し、聞き捨てならないとでも言いたげだった気がした。
「一人で自殺をするのが怖いので人を募るっていう感覚が僕にはよく分からないんだよ」
 と言い出した。
「どういうことだい?」
 と言い出しっぺの男性が聞き返したが、
「だってそうじゃないか。自殺をするのって結構勇気がいるじゃないか。リストカットの後が無数に手首に残っている人も結構いるというしね。要するに死を意識した人間は、一人にならないとダメな気がするんだ。人と一緒だったら、心中のような形になるだろう? よほど気心が知れた相手であっても、心中ともなると、一人が生き残ってしまうことだってあるんだ。それが今までまったく知らなかった相手と一緒に死のうとしても、果たして死に切れるものだろうか。逆にプレッシャーに押しつぶされそうになって、死ぬことができずに終わる気がするんだ。思いとどまったのであれば、それでいいのかも知れないが、死ねなかったというだけであれば、結局まら実を試みることになるだろうから、そういう意味では心中の相手を募集するなどということは、僕は本末転倒なことなんじゃないかって思うんだ」
 と言った。
 きっと、玲子をはじめとして、そこにいた学生たちは皆、自殺など考えたことのない人たちだろう。玲子の考え方とすれば、
――自殺を考えたこともない自分たちが自殺しようと思っている人の話をここであれこれするということ自体がナンセンスな気がする――
 と思えたのだ。
 それにしても、ネットというのは恐ろしいものだ。もし、どこかの掲示板にこのような記事を貼り付けていれば、警察が来て、すぐに検挙するのだろうが、ネットの世界というと、個人を特定することは難しい。サイトの管理者ですら、どこまで情報を知っているのか分からない。
 仮者は警察から指摘を受けて、サイトの掲載を削除するくらいの権限はあるかも知れないが、検挙することも、相手を特定することもできない。警察に情報提供しても、どこまで警察が追いかけることができるのか、ヤバいと思えば、自分たちで削除してしまえばいいだけだからである。
 ネットの情報というと、今ではほぼ無数にあると言ってもいいかも知れない。誰かを専任としてネットを見張らせていたとして、ある程度を網羅するためには、どれだけの人が必要だというのか、
「何千人? いや、何万人?」
 という世界の人間を、人海戦術として、力技で捜査するしかなくなってしまう。
 ネットという世界を相手に、実に原始的な力技を、人海戦術で行うというのは、それこそナンセンス以外の何者でもないだろう。
 しかも、ネットでは相手の顔が見えないし、どんな人間がアップしているのか分からない。つまり記事がいくらショッキングなものであっても、どこまでが信じられるものであるか、信憑性の問題となると、結構難しいものである。
「ちなみに、そのサイト、どんな内容だったの?」
 と、一人の女の子が興味を持ったのか、言い出しっぺの人に訊いた。
 すると、最初に自殺の話に不快感をあらわにした男性が、
「よせよ、そんな話聞いてどうなるっていうんだ、しょせんイタチの悪い悪戯でしかないんだろう? そんなバチ当たりな内容を聞いたって、耳が腐るだけだ」
 と相当、嫌悪感を抱いているようだ。
「あら、そう? だったら、ケンちゃんは聞かなきゃいいじゃない」
 と言って、サイトに興味を持った女の子が、真面目そうに見えるケンちゃんと呼ばれた男を一蹴した。
 どうも彼女は天真爛漫というか、自分が興味を持ったことを知りたいという感覚がみえみえのようだった。
「ミヅキは本当に困ったものだな。本当に怖いもの見たさってこのことのようだ」
 と言い出しっぺの男が興味津々の「ミズキ」と呼ばれた女の子に話した。
「じゃあ、聞きたくないやつは耳でも塞いでいればいい」
 と彼は言い出した手前、言いたくて仕方がないという雰囲気だった。
 まさかケンちゃんが真面目なところを発揮して、反対するなど思ってもいなかったのだろう。
「実は、そのサイトというのは、あるパスワードを入れないと普段は開かないようになっているようなんだけど、三日限定でパスワードがいらずに開いているって書いていたんだ。そして、完全にパスワードが必要な部分以外を公開し、その中で犯罪に関係するものを募集するということだったんだ。実はこのサイトが三日限定で開いているというのは、今回だけのことではなく、定期的に開くようなんだけど、毎回ではないんだけど、その犯罪に関した募集を掛けているんだけど、その内容は結構変化するんだよ。毎回変わるのかまでは僕もそんなにしょっちゅう見ているわけではないので分からないんだけど、そんなサイトが存在すること自体何か恐ろしいものを感じる。本当にネットの世界は奥が深いんだなっていまさらながらに感じさせられたよ」
 という。
「それで、今回と言うか、コウイチ君が見た時は何て書いてあったの?」
 と、ミズキは積極的に質問する。
 そこで、コウイチと呼ばれた言い出しっぺの男の子が、少しまわりを意識しながら、少し小声で、
「殺人未遂までの犯行を請け負いますって書いてあったんだ。僕はそれを見て、信憑性に疑問を感じたけど、逆にゾッとした部分もあったんだよね」
 というと、
「どういうことなの?」
 と、もう一人の女の子がそこで初めて口を開いた。
「殺人未遂までって言葉、何か違和感がないかい? アカリはそれを聞いてどう思うんだい?」
 どうやら、最後の一人の女の子は、アカリと呼ばれているようだ。皆がすべて愛称なのかは分からないが、これでそれぞれの名前を把握できた。
「どう感じるって、殺人以外のことを請け負うってことでしょう?」
 とアカリがいうと、
作品名:予知夢の正体 作家名:森本晃次