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短編集101(過去作品)

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 夢で見た女性と、自分の妻である美奈子が本当にそっくりだったのかと聞かれると、ハッキリそうだと答えることができない。あまりにも似ているシチュエーションの中に身を置くことで似ているように思っているだけかも知れない。
 弟か、美奈子のどちらかが見ている夢に自分が出ていたという考えの方が強い。夢の中で誰かの視線を強く感じていたからである。きっと夢を見ている本人の視線だったに違いない。視線の主をいくら探しても見つからないのは、夢の中だったと考える方が自然だからだ。
 池に落ちた弟から見つめられていたこと、これすら夢の中の出来事ではないかと思えてくる。誰かの強い視線を感じた時、それは、夢の中でのことだと思うようになっていた。
 汗ばむような日差しが差してくる。すっかり散ってしまった桜の木の下で、強い風を受けながら絶えず見つめるその先には、一人の子供が車に轢かれて動けなくなっている姿が、ずっとそこにはあったのだ……。

                (  完  )

作品名:短編集101(過去作品) 作家名:森本晃次