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泡の世界の謎解き

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 などというものを貰っても、鼻紙にもならないというものだ。
 だから、店長は苦渋の決断をする。パチンコ協会からも、
「なるべく、国や自治体に協力するように」
 といっても、同業者には、気持ちが痛いほどわかるはずだ。
 それを、自治体は、
「要請に従って店を閉めなければ、店名を公表する」
 と言い出した。
 しかし、それこそ、大きな茶番で、店名を公表すると、
「その店は開いているんだ」
 ということを、自治他愛のホームページを見れば分かってしまう。
 そうなると、どうなるか?
 ハイエナたちが、パチンコ店に押し寄せる形になる。それが、密を呼び、人流抑制といいながら、人を引き寄せることにつながるという、実に本末転倒なことになってしまうのであった。
 それこそ、茶番である。そんな簡単なことが、どうして誰にも分からなかったというのだろう?
 そんなことも分からない連中が発信する緊急事態宣言など、それこそ、机上の空論ではないか。
 しかも、第一波が収まっても、そのあとに出てきた波が収まっても、何年経っても、いまだに、
「新型ウイルス」
 という表現しかできないほど、やつらは、検証も何もしていないということになるのであろう。
 そんな時代の中で、風俗業界も、相当な痛手だったようだ。特に、性風俗特殊営業と呼ばれるものは、大変だったことだろう。
 元々、売春防止法というものがあるのに、性風俗というのが存在しているというのは、「矛盾しているのではないか?」
 といわれるかも知れないが、これは、れっきとした市民権のある業種なのである。
 元々、性風俗、いわゆる本番ありといわれるソープランドという業種は、江戸時代から続く遊郭がその前身であった。
 次第に形を変え、戦後には、当局の許可を得た赤線、無許可の青線などと呼ばれる、グレーな商売もあったが、トルコ風呂と呼ばれる商売ができあがった。
 垢すりを女性がしてくれるというものに、性風俗のサービスが結びついたものだが、この名称は、
「豪華なお風呂」
 ということで、出来上がった名前だという。
 そして、そのうちに、
「売春禁止法」
 が、施行されるようになると、赤線、青線ができなくなり、行き場を失った彼女タッチが、トルコ風呂に流れてきたことから、性風俗と結びついたようだ。
 そのうちに、一度はすたれかけた時期があったようだが、そこで出現したのが、
「泡踊り」
 という商法だ。
 川崎のトルコ風呂の女性が、自分で考案し、開発したとのことだが、これが嵌り、今でもソープランドのサービスとして、行われているものである。実際には、泡といっても、ローションとマットによるものだったり、泡にローションを配合した、特殊なものであったりする。
 そして、何とか盛り返してきたトルコ風呂だったが、1980年代に入って、トルコの留学生が、
「母国のトルコという国をバカにした名称だ」
 ということで、訴訟を起こした。
 そのため、世間でも大きな話題となり、
「トルコ風呂」
 という名前の改名を余儀なくされたのだ。
 そこで、公募により、名前の募集を行ったが、その時、
「ソープランド」
 という名前に落ち着き、現在に至っているのだ。
 そして、その時同時に、それまで、あいまいだった性風俗関係の営業を、しっかりと法律で規制をかけることで、それまであいまいだったものを取り締まれるようになったのだが、同時に性風俗営業が、
「市民権を得た」
 ともいえるだろう。
 時代はちょうど、その前後くらいに、恐ろしい病気が話題に上るようになった。いわゆる、
「エイズ(HIVウイルス)」
 のことである。
 未知のウイルスで、原因もいろいろうわさされ、
「ベトナム戦争の時に、米軍がまいた枯葉剤の影響だ」
 ともいわれていたが、それが全世界で話題になった。
 エイズは、基本的には血液感染だった。一般的な性病のように、空気感染や、皮膚感染はないが、危ないのは、ゴムを付けない性行為、さらに血液感染として、今ではありえないが、当時まであった、
「注射針の使いまわし」
 などであった。
 消毒をして、他の人にも使っていたというのである。今では、注射器は、一度使うと廃棄になり、その廃棄もちゃんと管理しての廃棄になるのだ。なぜなら、エイズが流行った時、注射針に誤って刺さった医者が、感染したなどということも結構あったからだった。
 エイズの怖いところは、致死率の高さもそうだったが、なんといっても、気が遠くなるような潜伏期間だった。
 なんと、五年から十年というではないか。本人もいつ感染したのかすら分からないのに、いきなり発症するというのだから、恐ろしい病気であった。
 それだけに、性風俗業界も、性病を含めたところでの、しっかりした感染予防が大切だったのだ。
 ここ数年で起こった伝染病問題とも共通の問題もあった。むしろ、その時代の方が深刻だったかも知れない。
 それは、エイズ感染をした人に対しての差別だった。
「あいつは。セックスで移った」
 あるいは、当時、
「ゲイと呼ばれる同性愛者にエイズが多い」
 といわれていたことで、男性であれば、
「同性愛者から、移されたのではないか?」
 などという誹謗中傷を浴びせられ、死の恐怖におびえながら、世間からは蔑まれるという二重苦の人だって少なくはなかった。
 それから、次第に世間も誹謗中傷を問題にするようになり、むやみに差別をしなくはなっただろうが、それでもゼロになったわけではない。問題は今も続いているといえるだろう。
 そんな時代だったこともあり、特に性風俗関係や、医療関係においてのエイズへの対策が急務だった。
 ソープランドに規制をかけ、その分、市民権を与えることで、闇でやっている商売とは違い、
「国に認められる性風俗」
 ということになったのだ。
 そのおかげで、性風俗業界には、規制が結構多かったりする。
 風俗営業法には、基本的なことが書かれているだけで、基本的には、都道府県などの条例にその具体的な内容は明記されている。
 前述の営業時間などもそうだが、例えば、
「営業できる範囲が決まっている」
 あるいは、
「新たに店を開業することはできない」
 などがそうである。
 営業できる範囲が決まっているといっても、自治体によっては、県内に一切ソープのないところもあったりする。大阪府などはその一つであろう。
 新たにできないといっても、以前営業していたところが潰れ、空き家に、別の店が入るというのは、問題ない。だから、
「数か月前は、違う名前の店だった」
 ということもあるのだ。
 営業範囲についても、いえる。
 基本的には、普通の場所でポツンとソープが存在するということはない。
 ほとんどは、大都市の中の繁華街の一角に、
「ソープ街」
 などと呼ばれるところがあり、店が軒を連ねているというのが一般的だ。
 だから、その通りに入る人は、皆、利用者だといってもいい。逆に通りに入ってしまえば、一般の人が入ってくることはないので、店をその場で選ぶ時も恥ずかしくはないということだ。
 昭和の頃の、繁華街などでは、営業員のような、
「にいちゃん連中」
 がいて、呼び込み行為を行っていたりした。
作品名:泡の世界の謎解き 作家名:森本晃次