ドクター・ヤブ田の、らくらく医学講座
「真性口臭症」の原因は、
一 生理的口臭
二 歯肉病、虫歯など口の中の原因によるもの
三 耳鼻科の病気や、内科系では糖尿病
などである。
口に、においのない人はいない、と前に書いたが、「生理的口臭」というのは、それに当たる。
赤ちゃんでも、口の中には、ほのかなにおいがあるものだ(オジサンの口臭とはずいぶん違う、さわやかな香りではあるけれど)。
口腔の病気が口臭の原因になるのは当然だ。
歯周病や虫歯はもちろん、治療に使われる金属などのにおいも注意しなければならない。
特に、入れ歯は清潔に保つよう気をつけよう。
意外なのは、耳鼻科や内科など、直接、口とは関係ない病気が、口臭の原因になることである。
そういえば、私の診察室にくる糖尿病の患者さんで、口臭の強い人が何人かいる。
つぎに「口臭」の診断法について述べる。
いろいろな方法があるが、もっとも簡単なのは、「官能検査」とよばれる検査法である。
〈エッ、官能・・・?〉
一瞬、怪しいコトを想像する方もいるかもしれない。
しかし、この場合の「官能検査」とは、医者が、自分の鼻を患者さんの口に近づけて、直接においを嗅ぐという方法、つまり、医者の嗅覚による検査という意味である。
あまりやりたくない検査だ。
そのほかに、口臭のもとになる物質を化学的に分析する方法がある。
これには、ガスクロマトグラフィーやガスセンサーとよばれる、高価な機械が必要だ。
分析の結果、口臭の原因物質として、揮発性硫黄化合物が検出される。
歯周病では、メチルメルカプタン。
舌苔が原因の時は、硫化水素が検出される。
作品名:ドクター・ヤブ田の、らくらく医学講座 作家名:ヤブ田玄白