ドクター・ヤブ田の、らくらく医学講座
つづいて紹介されたのは、若年性アルツハイマーによる「認知症」の人だった。
「認知症」の中で、アルツハイマーによるものは、圧倒的に多い。
これについては、「明日の記憶」(渡辺謙主演)という映画をみるとよく理解できる。
原因は、脳細胞にアミロイドβやタウ蛋白という物質がたまって、脳細胞(神経細胞)が死滅するためで、遺伝が関係するようだ。
今、日本では「アリセプト」という薬が主に使用されている。
「アリセプト」は、アルツハイマーの症状を軽減させ進行を遅くするので、有効だが、アルツハイマーを根本的に治すことはできない。
テレビに出たアルツハイマーの患者さんは、五〇歳代の人だった。
元気そうな髪の短い男性で、どこかで見たことがあると思ったら、友人のKそっくりだった。
Kは認知症ではないが、しょっちゅう私との約束を忘れて、
「えっ、そうだったっけ。」なんてとぼけている奴だ。
先日もスッポかして、知らん顔していた。テレビの人より、よほど重症かもしれない。
テレビの男性は、物忘れがひどい。
電話番号を調べるのに、携帯を探すのだが、携帯をしまった場所を忘れてしまっていた。
「アリセプト」で治療中だが、病院で、PET/CT検査をすると、脳の血流が悪くなっていた。
ところが、症状は改善している。
主治医の診察の時、
「ツマヨウ・・・」と言って、
「次の言葉は?」と聞かれると、
彼は、すぐさま、「ツマヨウジ」と答えることが出来た。
そして、なんと、付き添いでついて来た奥さんを振り返って、「妻」「用事」とシャレを言って笑ったのである。
これには驚いた。このへんは、Kそっくりだ。
二人は性格も似ているのかもしれない。
作品名:ドクター・ヤブ田の、らくらく医学講座 作家名:ヤブ田玄白