ドクター・ヤブ田の、らくらく医学講座
私も人から「言語障害」と思われることがあるが、そうではない。
酒を飲みすぎると、ロレツがまわらなくなるが、一時的なものである。
ロレツがまわらなくても重要なことはきちんと伝えられる。(「悪いけど、今日は払っておいてネ。この次はオレが払うから。」など)
ふだんも、あまりはっきりした口調ではないが、大事なことははっきり言わないことにしているためだ。
私が「言語障害」を疑われるのは、単に口数が少ないからである。
食事と仕事を除いて、口を開くのは一日に数回である。
たまにしゃべる時ぐらい重要なことを言えばよいのだが、
「昨日は惜しいところで○○が負けた」あるいは
「最近マージャンのツキがなくなったが、どういうわけか」など、
私にとっては重要だが、他の人にはそれほどでもない事しか言わないため、あまり注目されない。
そのため親戚からは、「言語障害」だけでなく、「精神障害」の疑いも持たれている。
そんな私だが、小学校のころは、けっこうお喋りだったのだ。
「お前は、アナウンサーになったほうがいい」と、父に言われたこともある。
そんな私がアナウンサーになれず、無口な医者になったのはなぜか。
アナウンサーの学校に行かなかったためばかりではない。
人生の様々な局面で、言語に関わるトラウマを負ったせいだ。
話せば長くなるので省略するが、そのため私は、会議や院長の前で発言するのが大変苦手である。猫の前で発言するのは苦にならない。
作品名:ドクター・ヤブ田の、らくらく医学講座 作家名:ヤブ田玄白