ドクター・ヤブ田の、らくらく医学講座
私も医者になりたてのころは過労が続いた。
私が働かないと患者さんが死んでしまうと思ったからだ。
しかし、長年の経験から、私が働いても患者さんが死ぬこともあることがわかった。
その後はあまり無理しないようにしている。
ところが、昨年から、「夜間院長」の仕事が増えた。
当直の実務は 若い医者がやるのだが、いざという時(患者さんからのクレームなど)、責任者として出てゆかなくてはならないという制度だ。
私も高齢の身をおして、月1回ぐらい「夜間院長」を務めている。
病院に一晩泊るのは60過ぎた私には辛いものがある。そんなわけで、再び、過労になる心配が出てきた。
最近は、過労死の認定が受けやすくなったから、もし私が死んだら、「夜間院長」による過労死認定第一号として、歴史に残るかもしれない。
歴史に残るのは名誉だが、名誉より命のほうが大切である。
作品名:ドクター・ヤブ田の、らくらく医学講座 作家名:ヤブ田玄白