ドクター・ヤブ田の、らくらく医学講座
五十肩で腕が上がらない辛さはよくわかるが、世の中にはもっとつらいものがある。
五十前から頭が上がらない症状だ。
人から聞いた話だが、相手は自分の奥さんのことが多いらしい。
五十歳に限らず、早い人では二十代から始まり、三十代、四十代と徐々に悪化するという。
そういう人はサラリーマン川柳で、
「女房を上司と思えば耐えられる」と、ひたすら忍耐を重ねるようだが、定年退職して上司がいなくなると、また新しい川柳を作らなければならなくなる。
五十肩の原因はわかっていない。
治療法は、消炎鎮痛剤を服用したり、鍼灸治療で、数ヶ月様子をみる。
そのほか、気休めだろうが、上司が肩を叩いてくれることもある。
いわゆる「肩たたき」は、五十肩の治療から始まったという説もあるが信用できない。
五十肩のいいところは、そうこうするうち忘れたころには治ってしまう点である。
それに比べたら、頭が上がらない「病気」は、生涯治らない事が多いところが辛いようだ。
作品名:ドクター・ヤブ田の、らくらく医学講座 作家名:ヤブ田玄白