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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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コントロールされた暴力

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高校生の俺の暴力



 高校に入ったら、ブレザーにネクタイのまじめな公立進学校だったので、あまり喧嘩はなかったけど、一度だけとんでもない大喧嘩をしたことがある。
 俺は高校では体操部に所属していた。体操のオリンピック選手に影響されたのだけど、それ以上にプロレスファンで、クラブ活動中は体操マットの上で、プロレスごっこをする毎日だった。当時は総合格闘技の走りの時代で、キックやパンチの立ち技、投げ技、関節技を効率よく繋ぐようなスタイルのプロレスが主流だった。
 俺が2年の時、そんなプロレス軍団に喧嘩を売るやつらがいた。昼休みにバスケットをしていたら、そのコートに3年生が来て、何のことわりもなく、そこで野球を始めたのだ。はじめは我慢しながら、交錯するのを避けてたけど、やっぱり邪魔。相手は無言で俺達を追い出そうとしている。それに、友達の一人がキレてしまった。

「お前ら、いい加減にしろや!」
 下級生から怒鳴られた3年生は、その友達を睨んで歩み寄っていく。
「何、イキがってんだよ!」
プラスチックバットを振り回しながら、すごんできた。
「俺らが先にやってんの解ってるだろ!」

 その言い合いは、まずは一対一で行われるが、大概はその最中に、後方から突然飛び出して、蹴って来るヤツがいるもんだ。そしてすぐに殴り合いになる。しかもやつらは、その友達を数人で殴り出した。3年生は体格では有利。それでも俺達は、助けに入るしかないだろう。

 仲間の内、特に腕力に自信のある友達は、目が笑ってた。次の瞬間、その友達が3年生の一人を、背後から腕を回して掴み、そのままバックドロップで脳天から地面に叩きつけた。俺もそれに続いた。最初に蹴った相手はみんながロックオンしている。そいつは逃げながら蹴っているが、素人の蹴りからは何のダメージも受けない。それを掴む、投げる、締め上げる。ちょっと普通とは違う戦法を見て、喧嘩に参加しない3年生がいる中、俺達はほぼ全員が、普段からこんな格闘技のトレーニングを積んでいるようなものだったから、逃げようとする相手を二~三人がかりで捕まえては、関節技をかけるなどして楽しんだ。
 そう、楽しかった。普段やってたワザの実力を、実戦で試せるんだから。また暴力をコントロールしていた。

 近くの体育教官室から、先生が飛び出して来て、その場は収まり、そして先生から謝れと言われたけど、俺達は悪くないと主張して、決して謝らなかった。すると3年生は、内申書にキズが付くこの時期に、停学になることを恐れてすんなり謝ってくれたので、それで和解できた。

 それ以降、喧嘩なんかしていなかった。もう、やんちゃは卒業。真面目で品行方正な性格になろうとしていたから。長く・・・。