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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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第47話 隠されたターカス






頭が痛む。俺は初めにそう思った。それから、耳元で誰かが唸っているのが聴こえ、それが自分の声だと分かる頃には、もう正気づいていた。

目を開けると、俺が居る部屋が見えた。薄気味悪い程白い部屋だ。壁があるのかどうかまで、よく分からない。

体を動かそうとすると、俺の体は、拘束帯のような物でその場に縛り付けられていた。どうやらベッドの上のようだ。ただ、ベッドがある他は、その部屋には何もなかった。

足も動かなかったが、さほど痛みがなく、出血も止まっているらしかったので、誰かが治療をしてくれたらしい。

“この状況で声を出していいものか…”

答えはノーだ。起きれば殺される訳でもないだろうが、とにかく拘束は外さなきゃならない。敵に気づかれていいのは、最低限自由を得てからだ。だから俺は、右手をぎゅっと思い切り握った。

すると俺の手は裂け、そこから小さなナイフがしゅっと飛び出てくる。それはいざという時のために仕込んでいた武器で、俺は、災害派遣の際に片手の首を失くしていた。

“やっと役に立ったぜ”

拘束帯はただの布ではなかったらしく、切り取るのにずいぶんと時間が掛かった。でもなんとか自由の身になれたので、俺はその部屋の出口を探す。

「ない…だと…?」

3分程その部屋を探し回ったが、ドアはなかった。壁の切れ目も、探してもない。

敵さんに気取られると思ってやっていなかったが、壁を一つ叩いてみた。それで何が起こるとも思っていなかったが、万一感応式のドアなどだった場合を考えてだ。

ところが、俺が壁を叩いた途端、壁全体が青く光った。そして、天井からこんな声が聴こえてきた。

“ああ、お目覚めかね”

それは、もうだいぶ歳のいった老人の声だった。それに、ここはオールドマンの自宅だ。彼本人だと考えるのが自然だろう。俺は天井を仰ぎこう叫ぶ。

「何が目的だ!」

“それはこちらの台詞じゃよ。なぜ軍人が不法侵入を?”

全部知れているのかと思って“しくじったか”と思いかけたが、俺は、まだ相手に話が通じると仮定し、こう返した。

「あるロボットについて話がある!おそらくあなたに関係あるだろう!」

そう言うと、何かムニャムニャと天井から独り言のような呟きが聴こえ、俺の傍で、何事もなかったかのように、扉が開いた。



廊下に出ると、辺りはシンと静まっていて、人の気配はなかった。すぐに誰かがやってくるだろうと思ったので、俺は急いで行動した。


とにかく、開けられそうな扉を探して、相手に見つからない内に開け、何かは発見して帰る。それが目的だった。そして、五つ目のドアがそれだった。

自動ドアではなく、指版の取り付けられたアンティーク調のドアを、誰も来ない内に俺は開けてみた。

その部屋には、灯りは点いていなかった。でも、部屋の奥に、ほの青い光が見えた。間接照明のようだ。それに照らされた物体を、俺は見た。

「うっ…!」

思わず、声を上げてしまった。そこには、あの“ターカス”と同じに見えるロボットが、ぼろ切れみたいになった状態で放置され、手足を縛られていたのだ。

危ないかと思ったが、警戒しながらもそのロボットに近寄ろうとした時、廊下の向こうからカチコチと鉄の足音がして、俺は慌てて駆け戻った。