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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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白い建物の周りは、小麦畑だった。でも、その時期には小麦などまだ育っていない。

そこはカナダに近い農地なのに、全く寒くなどなかった。子供の頃に読んだカナダの山の小説は、かなり寒冷地だという話だったのに。

カナダもアメリカも、元より小麦の産出量は充分だったが、農地と品種の改良が進み、生産量が少なかった国も、小麦だけは絶対に育つようになった。グアテマラでさえだ。ただ、そこではもう、コーヒーは育たなくなった。

コーヒーはすでに贅沢品だ。

気候が温暖化して今までの農地で育たなくなったので、維持費の高い屋内栽培での品種が生み出された。

各国はそのように、輸出作物の問題を抱えている。それを「解決する」のが、“穀物メジャー”だそうだ。本当は、価格を操って利益を出すのが目的で、どの国からも鼻つまみ者の組織だがな。


そんな事を考え、俺は一応警戒して拳銃を手に持ち、建物に近寄ろうとした。その時だった。

何かの軽い衝撃が足に当たったと思って振り向こうとした時、俺の足からはすっかり力が抜け、どくどくと血が流れ出ていると分かった時には、俺はもう地面にばったり倒れていた。

「ちくしょう…」

“撃たれた!”

防犯にしちゃ警備が重過ぎる。

“これは絶対に怪しい。だが、とにかく殺されない内に、一旦は退却しないと…”

なんとか建物の外に這い出ようとするも、誰かに頭を殴られ、俺の意識はぷっつり途絶えた…