小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

メイドロボットターカス

INDEX|8ページ/119ページ|

次のページ前のページ
 



「コーネリアー!こっちよー!」

あれから一晩明けて、私たちは「前ライン川」という川のほとりで、散歩をしていた。

ターカスが作ってくれた歩行器は座れるようにもなっていて、車輪式ではなくホバー式なので、私はウサギのコーネリアを連れてそこらじゅうを走り回り、後ろにはターカスが浮かびながらついてきてくれていた。

コーネリアはウサギだからぴょんんぴょん飛び跳ねていってしまうし、私の歩行器のスピードが速くなったのは、けっこうよかったみたい。


でも、私にも心配事があった。

“もしや、叔母さんが私を探そうとでもしたら、ターカスを追跡すればすぐにわかってしまうんじゃないかしら…ロボットたちはみんなそれができるように作られていると、教師が言っていたわ…”


朝は、ターカスが見つけてきた麦のお粥を食べた。麦といっても、それは指定改良作物となっているから、栄養面ではすべてをカバーできて味もよい。家庭料理の定番だ。私も、旧時代の麦は食べたことがない。今は作っているところはなくなってしまったから。

そして昼には、ターカスはまたカレーを作ってくれた。

「まあ!今度はフルーツね!」

目の前には、とてもフルーティな香りのするカレーがあった。

「ええ、そうです。こちらは栄養面でじゃがいもなどに劣らない、「ハーベス」と「ナバス」を使いました。魚はすり身にして衣をつけ、揚げ焼きしておりますので、食べ応えもありますが、ふんわりとしていますよ」

「わかったわ、いただきます!」

「ハーベス」は、古くは「マンゴー」と呼ばれていたものが原種だと「中世進化学」の時間に習ったけど、私は「ナバス」を食べるのは初めてだった。でもそれは、小さくて丸いシャリシャリとしたフルーツだった。

フルーツはどちらも甘くて、酸味はほとんどなく、まるで子供の頃に食べた甘口カレーのように、ルウにその甘みが溶けていた。

魚をすったものは、分厚い衣にカレールウが染みてじっとりと重かったけど、その中の甘く味付けされた魚のすり身がふわふわとしていて、どんどんごはんが進んだ。

「合格だわターカス!いいえ、100点よ!」

「ありがとうございます、ヘラお嬢様」

ターカスは頬の中にあるランプをピンク色に灯して顔を赤くし、にこにこと笑ってくれた。




「コーネリアのごはんは、ずっとキャベツでも大丈夫なのかしら?」

「ウサギは草食動物ですので、植物からの栄養摂取をしているのです、お嬢様」

「そうなのね。知らなかったわ!わたくしも、不勉強ね」

「お嬢様がお住まいの区域にウサギは今住めませんから、お習いにならないのも無理はございません」

「そうね。でも、ターカスが知ってるなら、私、安心してコーネリアの世話ができるわ!ねえねえ、今度は違うものを食べさせてあげましょうよ!」

「そうですね、それではお嬢様、午後はコーネリアが食べる草について、わたくしがお教えさせて頂きながら、採集に行くというのはどうでしょう?」

「素敵だわ!そうしましょう!」







「なんと、これは…ターカスの元々の基盤は、工業用ロボットの発展型でも、ヒューマノイドロボットでもなく、戦闘用ロボットだったのですね。わたくしも気づきませんでした…」

目の前でマリセルは複雑な表情をしていた。私だって驚いている。家庭にヒューマノイドロボット以外のロボットが迎え入れられることはほとんどないからだ。

世界についぞ「戦争」という言葉が聞かれなくなってからも、やむなく戦闘用ロボットを使うことはある。でもそれは本当に「やむを得ず」という形のはずだ。

裕福で、かつロボット工学の権威であるこの家の前当主が、そんなロボットを「娘の世話」のために購入するだろうか?私はそれが疑問だったし、そこには何か大きな理由があったのではないかと思った。

とにかく、そんなものに13歳の少女を任せておくわけにはいかない。私はここで、「お嬢様探し」に本腰を入れることに決めた。

「では、ターカスを遠隔操作をすることは?」

「方法がございません。通信と位置情報送信が拒否されているため、こちらからは個体確認すらできないのです」

「だが、拒否信号を解析すれば必ずわかるはずだ。やってみてくれないか」

「承知しました」