メイドロボットターカス
「エリックよ。君は、主人を私の組織に殺された」
俺はオールドマンがそう言うのを聞いていた。そしてこう返す。
「今となっては、どうでもいい事ですよ」
オールドマンがターカスのプログラムを確かめながら、「ヒヒッ」と笑った。
「そうじゃそうじゃ。ロボットとは、本来は人間に絶対の服従をするものじゃ。それがこいつはそうではない。自由意志を持つロボットが、一般家庭でただメイドとして使われているなんて、誰も考えつきはせん」
「見世物にでもしようってんですか」
そう言うとオールドマンはこちらを向いて、ニヒヒと笑った。
「永遠に廃棄するのじゃ」
「へえ。意外だ」
不敵に笑っていたオールドマンはその内に悔し気に顔を歪め、僅かに開けた唇の隙間からは、食いしばった歯が見えていた。
「ダガーリアより私の方が優秀だ!だから私は穀物メジャーからも工学者として優遇された!奴の研究は、不利益な物だったんだ!」
そう叫びながら、オールドマンはターカスを次々に分解していた。
俺は「どうぞご勝手に」と言った。
作品名:メイドロボットターカス 作家名:桐生甘太郎