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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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部屋の中には、黙ったままのエリックと私が残された。私はエリックを見詰めたが、彼はつまらなそうに俯いているだけに見えた。

“ああ、すべて忘れているのか…”

私は、かつての友と思っていたエリックを悲しい気持ちで見ていた。だが、彼はあるところですっと顎を上げてこちらを見下ろすと、にやにやっと笑った。

「よう。ヘマしたな?」

私は、エリックの様子があまり前と変わらない事に驚いたが、彼の記憶はすべて書き換えられていると思っていた。だから、彼が私の拘束バンドを解いているのを見ても、“これから解体され、私は研究されるのだろう”としか思っていなかった。でも彼はそのまま部屋を出て行き、すぐに戻ってきた時には、私の両腕両脚を持っていた。

「エリック!?」

私は驚き、そして喜んだ。

“私の腕と脚が揃えば、私は自由になれる。そうしようとするエリックには彼の意志が残っていて、軍に屈服などしていなかったんだろう!”

「大声出すんじゃねえよ、見つかるだろ。とは言ってもな、俺がお前の腕と脚を持ち出したのはすぐにバレる。早く抜け出すぞ」

「ええ!ええ!」

私は、エリックに早く話を聴きたくて、うきうきとした気持ちで二人で廊下へ出ようとした。エリックが本当は何者となっているのかも知らずに。