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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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まるで虫が地面を蠢くように人々が地上を逃げ惑っている。私は、その上空200メートル程を飛びながら、地上へ向けて熱線を発射しようとしていた。成功すれば半径50メートルが灰になる。

“自分はなんて恐ろしい事を!”

そう思って躊躇っていたが、いよいよ覚悟を決めて右手のひらを開き、私はそれを人々に向けた。その時だ。

“なぜそんな事をするのターカス!いけないわ!”

お嬢様が耳元でそう言っているような気がした。それで私は一瞬の判断が遅れ、近づいてくるエネルギー体の振動音を聴き逃してしまった。


気が付いた時、私は動けない体を地上に横たえ、傍で誰かが話しているのを聴いていた。それから耳元でロペス中将の怒鳴り声がする。

“ターカス!返事をしろ!何がどうなってる!”

私のスケプシ回路はまた停止し、私は真っ暗闇の中で完全に沈黙した。