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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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「ねえ、マリセル…変だと思わない?」

「何がでしょうか?お嬢様」

私はマリセルにこっそりこう言った。

「あんなに団結して捜査をしていたみんなが、それぞれ別の土地で、互いに戦ったりする事よ。みんな嫌だと思わないのかしら?」

そう言うとマリセルはこちらを向いてこう言った。彼の様子は真剣だった。

「お嬢様。わたくし達はロボットなのです。主人の命令は絶対です。彼らは自分の主人からの通達を見て、それぞれ自分の家に帰ったのです。二国間で全く対立するのが戦争です。その対立によってロボットが別たれたとしても、それは彼らにとって不満にはなり得ません。命令を遂行出来なかった時の方が、彼らは悲しむでしょう」

私はそれを聞いてびっくりしてしまった。

「そんな…じゃあ、ロボットには何も決められないと言うの!?」

思わずマリセルにしがみついて揺らそうとした時、ターカスが帰ってきた。

「ターカス、お帰りなさい」

そう言ったのに、ターカスは俯いてタンクを持ったまま、私達のバース入口に立っていて、こちらへ来ようとしなかった。

「どうしたのです、ターカス」

マリセルが近寄っていこうとすると、それを構わずマリセルとすれ違って、ターカスは奥に座り込んでいた私の所へ来た。

彼は悲しそうな顔をしていた。でも泣いてはいなかった。とても悲しそうな顔で、ターカスはこう言った。

「お嬢様、お嬢様はわたくしが元は兵器だった事をもうご存じと思います。ですからわたくしは戦場へ行かなければなりません。つい今しがた、軍の方から「徴用する」と言い渡されました…」

私は驚いてしまって、でも充分有り得るとも思い、何も言わず口元を押さえた。

「お嬢様、心配しないで下さい。きっと帰って来ます。ターカスはあなたの元へ戻ります」

「うん」と言わなければいけないと分かっていたのに、私はすぐにはそう出来なかった。ターカスの腕に両腕でしがみつき、しっかと放さずこう叫ぶ。

「ダメよ!そんなのダメよ、ターカス!」

その時ターカスは私の腕を振りほどいた。彼は一言を残してあっという間に部屋を出て行ってしまった。

「必ず戻ります」



「お、来たな。あと10秒だ。乗んな」

私は黙って軍用車の後部座席に乗った。そこには私と同じ型のロボット達がまた集められていた。20人程は座れる車に乗っていたのは13人だった。

運転手らしき軍人の隣で中将は葉巻を吸っていた。外を見ると、私達の車が避難所へ急ぐ人々の間を縫っているのが分かった。

「本部での会議が終わり次第配属部隊を命令する。如何なく力を発揮してくれよ」

そう言って中将はまた「ククッ」と笑った。