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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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「お嬢様、わたくしは給水所でお水をもらって参ります。マリセル、少しの間ここを頼みます」

「わかりました、ターカス」

「お願いね」

避難所の人込みの中でも住民が疲れないようにと、それぞれ割り当てられた面には高い衝立が立て回してあり、私はタンクを抱えてそこを出た。その時だ。

私の前からは、見知らぬ背の高い男性が歩いてきた。彼は私の行く道を塞ぐように目の前に立つ。

「君がターカスだな?」

そう聞かれて彼を見ながら、「ええ、そうですが」と返す。私ははっと気づいた。

彼は軍人が着るような折り目正しいスーツを着込んでいた。胸元に勲章はないが、階級を表すバッジが付いている。

彼はスーツの胸元から黙って懐中時計を出した。どうやらそれは通信端末をアンティーク調に作った物のようだ。ずいぶんと高価そうだった。彼の端末からは、私の設計図がホログラムで示される。私は驚いた。

「一体何の御用です?あなたはどちらの方なのですか?」

彼は私を見詰めこう言い放った。

「私はメキシコ自治区軍、中将の、ダグラス・ロペスだ。君を徴用に来た。君にはこれから前線へ行ってもらう。これは義務だ。手を差し出したまえ」