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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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「マリセル、シップの手配は出来ましたか?」

私達はドタバタとお嬢様の荷物を用意していた。私は部屋からお嬢様の着る物をお出ししてぬいぐるみのミミを連れ出し、それから兎のコーネリアを庭に迎えに行った。

「ええ。すぐにこちらに着きます」

「それでは携行食糧はどのように?」

「お嬢様が食べたがっていたチョコバーと、それから数種類のパンや干し肉、野菜ジュースなどがあります」

「素晴らしい。ではお嬢様、行きましょう。避難所まで、シップでの移動になります。自治区の中枢へ向かうので空路が混む事が予想されます。申し訳ございませんが、お許し下さい」


「ええ、大丈夫よ。行きましょう」

お嬢様は恐ろしさに気圧されながらも、気丈夫に振舞っているように見えた。だから私は、腕に抱いていたコーネリアをお嬢様へと預ける。

「大丈夫でございます、お嬢様。コーネリアもマリセルも、わたくしも一緒ですよ」

そう言うとお嬢様はお笑いになり、少し元気が出たようだった。



「なあ銭形さん。アンタはどこなんだ?」

俺は前を歩く銭形にそう聞いた。

銭形は完全な戦闘用兵器だ。今回の開戦にも関わるに違いない。

“おそらく合衆自治区に呼ばれたんだろうな”と俺は思った。銭形からは素っ気なくこう返ってくる。

「秘匿事項だ」

“やっぱりか”

俺達はポリスメキシコ自治区支部の職員だ。その俺達に言えないとなれば、要は銭形は「戦う相手」なのだろう。

もちろん俺達はポリスの職員なのだから戦闘に参加などしない。自治区内での住民の警護に当たる。でも銭形には充分過ぎるほどの戦闘力がある。どこかで出くわせば俺達は真っ先に破壊されるだろうと思った。

「アームストロングさん、アンタは?」

アームストロングは、合衆自治区にあるポリス本部の職員だ。もしやと思っていた。

「その質問に答える義務はない」

“アンタもかよ”

多分こちらは、アメリカでの何らかの任務に就くんだろう。戦闘ではないにしても。

俺達はその時、ホーミュリア家の敷地に停まっていた3つのシップの内、2つに分けて乗り込み黙って別れた。

ポリス専用艇を操縦するロボットは、「シートベルトをお締め下さい」と愛想のない声で言う。俺は、横に居たシルバにこう聞いた。

「銭形は前線か」

「おそらく」

「俺のところには、住民の保護を自治区A地帯でするよう通告が来た」

「僕は、市民に向けての情報収集班へ参加が義務付けられました」

「…そうか」

シップが飛び立ち、ふわりと浮遊する感覚に俺は身を任せていた。