小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

メイドロボットターカス

INDEX|67ページ/119ページ|

次のページ前のページ
 




「メキシコ自治区に進軍だって!?」

メルバが、頓狂な声で叫ぶ。アームストロング氏は「続けて」と先を促した。

私は、「合衆自治区がメキシコ自治区へ、開戦を宣言しようとしています」と話し始めた所だった。

「私をさらったのは、“エリック”というロボットでした。エリックの主人は、ポリスで個人データを管理する職員でした」

「そこまでは調べがついています。その先は?」そう言ったのは、白い髪の少年だった。彼は“シルバ”と名乗った。

「偶然にデータの改ざんを発見し、そしてその内に、ポリスが合衆自治区へ、兵器を売り渡している事を突き止めました」

「“エリック”が消えたのは、それを止めるためか?」

「ええ、そうです。ですが彼は、合衆自治区大統領を殺害する事でそれを防ごうとしました」

「おい、そんな事…!」

メルバはソファから腰を浮かせてまで、驚いていた。

「させませんでした。わたくしはエリックを破壊し、彼は全壊しました」

その場は沈黙したが、アームストロング氏がこう言う。

「安心しなさい。君のその行いを罪に数える事は、我々はしない」

私は、それを聞いても、ちっとも満足に思えなかった。

「エリックが明らかにしたのは、それだけではありません。私は実際に潜入して確かめましたが、ポリスのグスタフ氏が、合衆自治区とコンタクトを取っていて、兵器を融通し、それから、世界連からもキャッシュを受け取っていたのです」

そこで銭形氏が、片手を顔の前に浮かせ、慎重にこう聞いた。

「それは…もしかして、マルメラードフからか?」

私が頷くと、彼らは全員身を引き、大いに驚いたようだった。その時だ。


ウー!ウー!という警報音が屋敷中に鳴り響いた。続いて、機械音声のアナウンスがこう告げる。それは、公共情報をいち早く受け取るシステムからだった。

“合衆自治区が、メキシコ自治区へ開戦を宣言しました。住民はただちに指定された場所へ避難して下さい。合衆自治区が、メキシコ自治区へ開戦を宣言しました。住民はただちに指定された場所へ避難して下さい”

「ちくしょう!」アームストロング氏は叫んで自分の膝を殴る。そして彼は立ち上がった。私はお嬢様の元へ駆け寄る。

「ターカス…」

話を聞いて混乱していた様子だったお嬢様は、精一杯不安そうにこちらを見詰める。私はお嬢様に笑って見せた。

「大丈夫でございます、お嬢様。きっとお守り致します」