メイドロボットターカス
第37話 課された義務
警報が鳴り響く中、捜査員達の持つ通信端末に一斉に着信音が鳴った。シルバの前には仮想ウィンドウが小さく表示される。私はお嬢様を脱出させようと、お嬢様の荷物を集めるようマリセルに頼んだ。
アームストロング氏はちらとだけ画面を見ると端末をしまう。メルバは目を閉じて数秒、恐らく自分に来た指令を読んでからもう一度開けた。シルバはウィンドウを一度タップして消す。銭形氏は端末を眺めたままこう言った。
「我々捜査員は、この事件の捜査は終了だな」
アームストロング氏がこう返す。
「ああ。ターカスも見つかり、エリックは破壊済みだ。マルメラードフは後に裁かれるが、我々は上への報告だけでいいだろう。彼のした事は国際的な犯罪に当たる。全員招集の通信だな?」
その場に居たロボット達は全員黙って頷いた。アームストロング氏がこちらに振り返り歩み寄ってくる。
「アームストロングさん…」
お嬢様は心細そうだった。アームストロング氏はきちんと会釈をし、お嬢様の手を取る。
「どうかご無事で。我々は呼ばれた場所へ行かなければいけません」
お嬢様は何も言わなかった。メルバもシルバもアームストロング氏も銭形氏も、みんな戦争へ行ってしまうと思っていたのだろう。
私は勇気を出して彼に聞く。
「貴方が配属となるのは、どこなのです」
そう言うと、アームストロング氏は「君には言えない」とだけ言い、ホーミュリア家を去った。彼らはみんな帰って行った。
作品名:メイドロボットターカス 作家名:桐生甘太郎