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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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第3話 私のためのカレーライス






ターカスが作ってくれた家の中には、すでに家具が備え付けられえていて、ベッドの手前に白色のカーテンが渡してあった。

“どうやって作ったのかわからないけど、オート洗浄機もあるわ…部屋の中の掃除なら、ターカスはいつも「変形」して自分でやっていたけど…”

すると、丸型オート洗浄機に気を取られていた私に気づいたのか、ターカスはまた胸を張って思い切り笑った時の、ぎゅっとつぶったようなにこにこの目になった。

「お嬢様、それは水と木と土から元素を取り出して私が樹脂を組み直した洗浄機です。お嬢様のお召し物もそれで洗浄ができますよ。あとでわたくしがドレスもお作りいたしましょう」

「そ、そうなの。ありがとう」

“ターカスって、なんかすごい。この人、できないことなんかなかったのに、いつもわたくしたちのそばにいてくれたんだわ…”


私たちの時代、ロボットに対して「ロボット」と呼ぶのは、工業用製品のロボットだけに限られていて、心の中だけでも、名前や、「この人」などと呼んでいる。

もうロボットたちが人間の生活に溶け込んで、千年になるらしい。実はロボットが反乱を起こしたりしたこともあったらしいけど、今は私たちは仲直りして、同じように接している。メイドロボットに対しては、そりゃちょっと命令口調になってしまうけど、彼らもそれは不服ではないみたい。


私は洗浄機を見るのをやめて、カーテンの後ろのベッドを覗き込んだ。するとそこには、可愛らしいクマのぬいぐるみがあった。

「わっ!ターカス!これ、「ミミ」じゃない?」

「ええ、そうです。お屋敷にあった、「ミミ」をもう再現しました。「ミミ」のおそばなら、お嬢様もよくお休みになれるようですので。それから、テーブルに据えた椅子の高さは、このくらいでよろしかったでしょうか?」

「座ってみるわ」

ターカスは私を床に降ろしてくれたけど、私は足が上手く動かないから、一瞬、体がグラッと後ろに傾く。するとその背中をターカスが支えて、椅子に座らせてくれた。

「歩行器もお作りいたします。椅子に座って少々お待ちになってください。高さはどうでしょうか?」

「ちょうどいいわ!屋敷とおんなじね!」

「それはよかった。では2分ほどお待ちください」


ターカスが出て行ってからの2分間で、私は“そういえばここに食べるものはあるのかしら”と考えていた。

“川があるから魚はいるけど、魚は好きじゃないし…小さい頃からお父様は私が食べたがるチョコバーをよくくれたから、そのうちそればかり食べるようになってしまって、よくターカスを困らせたわ…もちろん、一食でしっかりと栄養は摂れるものだったけど…もう、それは食べられないのね…”


そして、外で聴こえていた「カキン」とか「バチン」などという音が止んだと思うと、ちょっとの間、外は静かになった。風と、木の葉のそよぐ音が聴こえていた。