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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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「お待たせしましたお嬢様。それから、お嬢様のお召し上がりになるものをと思いまして、ウサギを捕まえてまいりました」

見ると、ドアを開けたターカスの胸には、小さな黒いウサギが抱かれていた。

「ウサギ!?可愛いわ!ターカス!その子は私たちで飼いましょう!こちらに連れていらっしゃい!ちょっとだけ、テーブルに乗せるの!」

「かしこまりました。それではお嬢様、今夜のディナーには何をお召し上がりになりますか?」

ターカスがその子兎をテーブルに乗せると、ウサギはテーブルの真ん中から、少しずつだけど私に向かって鼻をふんふんと鳴らしながら、近づいてくる。もしかして、あまりほかの動物を見たことがない子なのかしら?好奇心旺盛なのね。

「そうねえ…じゃあ、今晩はお魚にするわ!でもいいことターカス!私はお魚が苦手なのよ!だから、「これはお魚じゃない!」ってくらいのお料理を作りなさい!」

「かしこまりました。では夜は白身魚のカレーライスにいたしますが、よろしいですか?」

「いいわね!お願いするわ!」





それからとっぷり日は暮れるまでに、ターカスは「調理器具をお作りして、魚を捕まえてまいりますので」と言って、また外に出て行き、ウサギにあげる野菜も探してきた。

「ウサギ、ウサギ、いい子ね…。あなたは「コーネリア」と名付けましょう…」

コーネリアは鼻をひくひくさせながら、おなかがすいていたのか野菜にがっついていた。そして、私の手からキャベツがなくなってしまうと、私の指につかまって、まだキャベツが残っていないか、手のひらをくまなく探してまわっていた。



「まあ!本当にこれ、お魚が入っているの?お魚のにおいなんかしないわ!」

目の前には、美味しそうなカレーライスがあった。でも、魚の切り身は見えないし、いつの間にかにんじんやジャガイモも用意されていたみたいだ。

「魚は砕いた上でフライ調理を致しましたので、肉とあまり見た目は変わりません。それと、新開発のスパイスをご用意いたしましたので、これからはいつでも臭みを気にすることなくお嬢様は魚をお召し上がりになれますよ」

「本当!?じゃあ食べてみるわ!」

カレーライスは、てらてらと油で光り、スパイスがとてもいい香りだわ。甘さと刺激の絡まり合った、なんとも言えないカレーの香り。木のスプーンですくってみると、ぽとっと何かが落ちてしまった。

「お嬢様、それが白身の魚です」

「そうなのね」

私はそれをすくい直して、口に入れてみる。

「美味しい!これ本当にお魚?だって脂身が美味しいわ!」

「カレーに使いました人口油脂を、魚にも練り込んで肉に少し近くしてみました。お気に召していただけましたならば、何よりでございます」

「ええ!明日もこれがいいわ!」

「そうですか。では明日は別の具材を入れてみましょう」



そうして私たちは食事をして、ターカスは眠る前の10分だけ、外にエネルギーの「水素」を取り込みに出かけていった。