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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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第31話 捜査の転換






「それで、エリック。仕事とは?」

私達は収容所の廊下を歩いていた。各々の足が鉄の床に当たり、カチンカチンと音がする。

「聞くまでもねえな、大統領の暗殺だよ」

私は、跳ね飛ばされたようにエリックを見たが、彼は平然と元の部屋へ向かっているだけだった。

“そんな大それた事を私達が…!”

しかし私は、“そんな事が上手くゆくわけがない”とは思わなかった。なぜなら私は、兵器として造られたからだ。むしろ、そんな事は朝飯前だ。エリックが計画を練らなくたって、充分に可能だった。それに、今の私は、行為の是非を決定する“ロック”が外されている。なおの事、遂行は容易だった。しかしそれは、「やりたい事」ではない。

私のやりたい事は、お嬢様の元へ戻って、お守りし、もし戦争となったら、お連れして逃げる事だ。でも、エリックをこのまま放って元に戻れば、大志を抱いたエリックが犬死にとなってしまうのは明らかだった。彼を止める方法が分からなくても。



私達ロボットは、手のひらのセンサーを取り外せば、機能しなくなってしまうように出来ている。それは、活動してさえいれば、いつでもレーダーで居場所を特定出来るようにするため、とも言える。でも私は、レーダーに掛からない移動も出来た。だから後は、エリックがセンサーから、自分の型番の情報を除く作業をするだけだった。でも、それに一番時間が掛かった。

彼は何度か機能停止となり、その度に私は彼のセンサーのプログラムを元に戻し、目が覚めたらエリックはプログラムの修正をして、なんとか個体番号の除外をした。

「ふいーっ。こんなモンにこんなに手間を食うとは思わなかったぜ」

「一番大きな束縛です。仕方ありませんよ」

「けっ。自分が簡単に出来るからってよ」

「それで、エリック。どこへ向かうのです?」

そう言うとエリックは眼帯の位置を直す仕草をして、こう言った。

「決まってるだろ、ホワイトハウスさ」