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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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「地下…?ターカスは、地下に居るの?」

私は、マルメラードフさんにそう聞いて、彼に近寄って行った。歩行器が前に着くと、マルメラードフさんは私を見て微笑んでくれたけど、その目元はひきつっていた。そして、またアームストロングさんを見て、彼はこう言う。

「エリックも見つからない、ターカスも見つからない、そして彼らはポリスに出向いて何かを企んでいたらしい…そして、ターカスと同じ種類のロボットは全員行方不明…これは、エリックが何らかの活動を起こすかもしれないと、私は思うんだがね」

その台詞に、アームストロングさんは下を向いてまた顎をこすっていたけど、隣で銭形さんが「確かに」と呟いた。銭形さんは、アームストロングさんにこう促す。

「ターカスは、兵器基盤のロボットなのだろう。それなら、それを集めれば、今ならどの国にだって盾突く事が出来る。“エリック”が何を考えてそんな事をするのかは後にして、彼らを見つけられなければ、とんでもない事になるかもしれないぞ。アームストロング」

アームストロングさんは考え込んでいたけど、銭形さんの顔を見て、こう言った。

「それは、ターカスを含め、テロリストとしての指名手配をするという事になる」

私はそれにびっくりして、言葉を失った。

銭形さんは、「そうだ」と言った。

マルメラードフさんが、「そうするしかないだろうね」と言う。

“違うわ…違うわ!”

私は自分の叫びに胸の中を掻き回され、もう黙っていられなかった。これ以上、ターカスがそんな扱いを受けるのには耐えられなかった。

“このままじゃ、ターカスは見つかっても壊されてしまうかもしれない!そんなの絶対に許さないわ!”

「違うわ…」

私は、ぼろぼろと涙をこぼし、ドレスの膝の辺りを握りしめて、その時はまだ下を向いていた。でも、私の様子に、周りの大人も注目していたから、私は顔を上げてこう叫んだ。

「違うわ!彼はテロリストなんかじゃない!この家の、メイドよ!わたくしの、一番の友達だわ!そんな事をしたら、わたくしは許しません!」

私は、その場に居た大人全員を睨みつけ、涙を止めなかった。しいんと鎮まった部屋の中には、私が息を切らしている音だけが響いていた。