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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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グスタフのオフィスの鍵は、何重にも電子ロックが重ねてあり、不審がられない間に開けるのは至難の業だと思えた。だが、私はやらなければならなかった。

エリックが作った偽の鍵には、グスタフの情報が組み込まれている。もしかしたら、いや、もしかしなくても、鍵を開ければ、グスタフ本人の手元に、部屋が開けられた通知が届くだろう。彼が急いで引き返してくる前に、仕事を済ませなければいけなかった。

私は、偽の鍵に入った偽の情報を、ひとまずは中へ差し込む。思った通りに上手くいかなかったので、今度は別の方法を使った。

私の体に以前組み込まれていた、“人の不利益となる機能は使わせない”というロックは、すでに解除されている。私は人差し指の部分を細長く伸ばし、鍵の中に差し込んで、その鍵に入力され続けてきた情報を、一つ一つ順番に検索しながら、中へ送った。

“当たってくれ…!”

それは、一番よく使われている単語の並び順でパスワードを当てるような作業と言えば、分かりやすいかもしれない。運よくゲートは開き、私は誰にも見られずに、中に入る事が出来た。そして、デスクに据え付けられた通信端末へ駆け寄る。

直前に通信していた相手の番号は、やはり見られなかった。履歴は消すだろう。だから私は、システムの中で、消去の作業を施されたデータの復活を急ぎ、直近2カ月分の文書データも、スケプシ回路へコピーした。

“早く…!彼が戻ってくる前に!”

祈りと焦りでどうにかなりそうだったが、消去された最後のデータには、「U-01」とあった。私はそれを目の中で記憶領域に送り、足早にそのオフィスから離れた。