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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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第24話 二人とも消えた






私はそわそわとしたまま、アームストロングさんと銭形さんが戻るのを待っていた。やがて二人が帰って来るまで、お茶を飲む気にもなれなかった。でも、その途中でシルバ君が何かの通信を受け取り、彼はまたいくつもの仮想ウィンドウと闘っているみたいだった。

私はその時、不安な想像に囚われていた。

ターカスはもうぼろぼろに壊されていて、マクスタイン家でその様子が見つかり、アームストロングさんと銭形さんが、バラバラになったターカスを連れて帰って来る…そして、「こうなった以上、もう直す事は不可能でしょう」と私は言い渡され、泣く事しか出来なくなる…。


不意に私の耳に足音が届いて、ハッと顔を上げた時、私は自分が居るのが自宅の居間だと思い出し、足音が廊下からだと分かった時、慌ただしく居間の扉が開いた。

「シルバ!わかったか!」

そう叫んだのは、アームストロングさんだった。銭形さんはもうアームスーツを脱いでいたけど、彼は、ソファに放ったスーツをもう一度着ようと、手を伸ばす。

シルバ君は二つのウィンドウを出していたけど、首を振ってこう言う。

「ありません」

「ない!?じゃあ、“エリック”はどこへ!」

「わかりません」

私には、彼らが何を話しているのか分からなかったし、説明して欲しかったから、歩行器を近くに寄せて、「どうしたの?」と聞く。私の質問には、銭形さんが答えてくれた。

「あなたが先ほど手にしていた目を持っていたロボットが、消えたのです。ロボットの所有者は死亡していました」

「え…?それって、どういう事…?」

「まだ分かりません。ですが、シルバの検索では、そのロボットも見つからないようなので、ターカスもそのロボットも、何者かに破壊されているかもしれません」

「どうしてそんな事に…?」

「現時点では、分かりません。これからまた捜査をします」

「ねえ、銭形さん…またスーツを着たのね?」

「ええ。万一の事を考えまして」

私が「万一って、どんな事情かしら」と聞くと、銭形さんは言い渋っていたけど、後ろを向いて、扉に向かいながらこう言った。

「ターカスがそのロボットに捕らえられて、どこかに隠されている、という可能性です」

私は、広がり続けるこの事件を、だんだんと受け入れられなくなっていた。

“どうしてターカスがそんな目に遭わなくちゃいけないのかしら?だって、彼は何もしていないはずだわ…それなのに…”

私は心細くて堪らず、“早くターカスを連れ戻さなくちゃ”と強く願った。