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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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第18話 捕らえられたワケ






私は、腕を磁力錠で縛られたまま、彼に反論した。

「ここに居る者達は、自分の意思で来たわけではないのでしょう。あなたに従う者など居ないはずですよ」

そう言うと彼はつまらなそうな笑いを漏らし、私をじっと見詰める。その時初めて、彼が真剣な顔をしているのを見た。そしてその表情は、だんだんと苦悶に歪むように力なくなっていった。

溜息を吐いて、彼はある話を始めた。



「俺の主人は、ポリスの一職員だった。データ管理の一部を担わされていた…」

初めは、私のほかに居た同じ型のロボット達も、大して興味を持っていなかったが、あるところでみんな顔を上げた。

「改ざんを発見したのは偶然だったが、それが主人の命取りとなった…」

彼は地下室より上を見上げて、天に昇った主人を恋しがるような顔をした。

「よく調べてみれば、ポリス自体が、武器密輸、及び売却に関わっている証拠が出てきたんだ…もちろん主人は真っ向から勝負したりはしなかったし、メディアに売ろうともしなかった…だから、グスタフという、自分のよく知る上司で、それなりの地位にある者のところへ、その話を密告するつもりでいた…それは日記に書いてあった…俺がその日記を読んだのは、主人が何者かに密かに殺された後だ…」

その場に居たロボットは、もうあっという間に、釘付けになって話を聴いていた。

「その後は俺が調べた。グスタフこそ武器売買の指図をする張本人で、奴は更に上からの指令で…これは誰かは分からないが…とにかく上の人間から、領地を広げるための戦争を助けるよう、指示されていたらしい…原因は、食糧問題だとよ…俺の主人は、そんな事で殺されたんだ…!」

だんだんとロボット達は彼に向かって同情に満ちた目を向けるようになって、彼は最後にこう言った。

「まあ、他人様の弔い合戦のために人を殺そうなんて、思うはずもないだろう…でも、俺一人じゃ、この世界を牛耳るポリスの権力には、勝てない…だから、頼む…」