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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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第11話 彼は知っていた






「何!?今の音!」

私はその時家の中に居たけど、突如として大きな爆発音のようなものが家を包み、揺らした。

コーネリアがびっくりしてしまって、鉄網の中で走り回り始めたので、私は急いでコーネリアを抱き上げて、その背中を撫でる。

「コーネリア、大丈夫、大丈夫よ…」

私はおそろしくて、「外に出て確かめてみよう」と考えることができなかった。早くターカスが戻ってきて欲しいとだけ願っていると、ほどなくして家のドアは開き、ターカスが玄関口に立つ。

「…ターカス、どうしたの?何があったの…?」

「なんでもございません。少々のことですので、お気になさらないで下さい」

そう言ってターカスは服に付いた泥汚れを払っていた。

「でも、地鳴りみたいな…爆発音みたいな音が…」

「お嬢様…」

「ターカス、本当のことを言ってちょうだい」

私がそう言っても、ターカスは何も答えてくれなかった。

「…ねえ、どうして黙っているの?私、怖いわ!」

「大丈夫です、お嬢様。もう何もありませんから…」

私は歩行器に乗って、コーネリアを抱いたままターカスに近寄る。なぜかターカスは玄関から中へ入ってこようとしなかったから。

「ターカス…服が破けているわ…」

「ええ、少々、引っ掛けてしまいまして…」

「そう…ねえ、もう大丈夫なの?本当に何もなかったの?ちゃんと答えてちょうだい、ターカス」

「ええ、ヘラお嬢様。何もありませんよ。地鳴りがしたのは、私が着地を少々誤ったからでしょう。遠くから飛んで来ましたので」

「そう…」

「それより、今日は生きた蟹が手に入りましたので、どうやってお召し上がりになりますか?」

「え、ええ、そうね、どうしようかしら…」

私はやっぱり腑に落ちないままだったけど、ターカスは後ろに隠していた蟹を見せてくれたので、それから二人で家に入った。









「アルバ!大丈夫か!」

私は、「令嬢奪還の失敗」の報を聞いてから、心配をしながら3人の帰りを待っていた。

戻ってきた時、メルバはボロボロになったアルバの体を背負い、マルメラードフ部長はゆっくりとアルバをソファへ寝かせてやった。

「大丈夫じゃねえよ。機能停止にまで追い込まれた。俺が連れて帰って来たんだ…」

「メルバ、君は右目が…」

メルバもいくらか負傷しており、特に右目の部品が抜け落ちていた。

「大丈夫だ、俺の目は片目で足りる」

「マルメラードフさん、あなたは現場でロボットの修理もすると聞きましたが、彼女を直すことは…」

「ここじゃ無理だ。部品も工具もないんだからね。彼女を一度「ポリス」の本部に戻した方が早い」

「じゃあシルバ、本部に連絡して、シップを寄越すように言ってくれ」

「了解しました」

それからアルバは機能を取り戻さないままシップに乗せられ、本部へと戻されていった。