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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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第10話 銀色の閃光







「とにかく…令嬢がどのようになっていても、その体を取り戻さなくてはなりません。マリセル、そんなに落ち込まないで…まだ、何かの間違いかもしれないのですから…」

「パーソナルチップのステータスなんて、そうそう誤ることなどございません…!お嬢様がもう亡くなられていたなんて…!わたくしはこれからどうすればいいのでしょう…!」

シルバが確認した「死亡」のステータスを見てからというもの、マリセルはおいおいと泣き始めて、私たち客人の相手どころではなくなってしまった。

「それで、アームストロングさん。出立前に、ターカスの画像を一応見せてください。令嬢を連れ去ったターカスが遺体のそばにいる可能性はとても高いです。」

「ああ。それと、君たちには彼の図面も見てもらわなければいけない」

「図面?なぜですか?」

私はシルバの方へ向けて、ターカスの設計図面を見せた。

「えっ…?」

「何よこれ…」

「これって…軍用の戦闘ロボットの図面に似てないか…?」

最後にメルバが言ったことに私が頷くと、三人は慌て始めた。

「待てよ!だって、この家のメイドだったんだろう!?」

「ただのメイドなのに、なんで戦争ロボットなのよ!こんなの、私たち全員でかかってやっとじゃない!」

私はその時、前当主の日記にあったことを言おうか言うまいか、考えていた。

“ターカスは、ヘラ嬢の弟の人格をプログラミングするために、それをシャットアウトされることのない軍用ロボットを、前当主が選んだのだ”

だが、ここでそれを言ってしまうと、余計なことを捜査員に考えさせることになる。それは、我々にとってはマイナスでしかない。私は口をつぐんだ。

「私にも理由はわからない。だが、これがあったからこそ、アルバ、メルバ、君たちを呼んだんだ。心してかかってくれ」

「…了解。一応俺たちのシステムにその図面を送信しておいてくれ、ジャック」

「そうするよ」

「もう!新しい靴が壊されたら、アームストロングさんのせいだからね!」





「ターカス、見て見て!」

「どうしました、ヘラお嬢様」

「ほら!」

私はウサギのコーネリアの片手を自分の片手の平に乗せて、ターカスを振り向く。するとターカスは急にぱあっと微笑み、こちらに近寄って来た。

「なるほど、芸を教えたのですね」

「そうよ、この間ターカスが“ブック”で教えてくれたから、ずーっとコーネリアに挑戦させてたの!」


ターカスは時折、ウェッブからブック形式になった教本などを引いては、私に勉強を教えてくれていた。コーネリアの育て方も、その“ブック”を探してくれたのだ。


「では、わたくしは…」

そう言うとターカスは両手をぱっぱっと宙で動かし、しばらくして右手に、小さなにんじんを取り出した。

「“お手”のごほうびを、コーネリアにあげましょう」

「素敵だわ!貸して貸して!私があげたいわ」

「もちろん。お嬢様からあげてください」

ターカスからもらったにんじんをコーネリアの鼻先に持っていくと、コーネリアは大喜びで食べだした。

「頑張ったわね。いいこ、いいこ、食べなさい…」

私はコーネリアを撫でて、コーネリアはにんじんに夢中だった。

「お嬢様、わたくしは夕食の食材を見つけてまいります。今はコーネリアのそばにいてくださいますか?」

「ええ、いいわ。しばらくコーネリアと遊んでいるから、行ってきてちょうだい!」

「では、行ってまいります」