メイドロボットターカス
「ターカス、見て見て!」
「どうしました、ヘラお嬢様」
「ほら!」
私はウサギのコーネリアの片手を自分の片手の平に乗せて、ターカスを振り向く。するとターカスは急にぱあっと微笑み、こちらに近寄って来た。
「なるほど、芸を教えたのですね」
「そうよ、この間ターカスが“ブック”で教えてくれたから、ずーっとコーネリアに挑戦させてたの!」
ターカスは時折、ウェッブからブック形式になった教本などを引いては、私に勉強を教えてくれていた。コーネリアの育て方も、その“ブック”を探してくれたのだ。
「では、わたくしは…」
そう言うとターカスは両手をぱっぱっと宙で動かし、しばらくして右手に、小さなにんじんを取り出した。
「“お手”のごほうびを、コーネリアにあげましょう」
「素敵だわ!貸して貸して!私があげたいわ」
「もちろん。お嬢様からあげてください」
ターカスからもらったにんじんをコーネリアの鼻先に持っていくと、コーネリアは大喜びで食べだした。
「頑張ったわね。いいこ、いいこ、食べなさい…」
私はコーネリアを撫でて、コーネリアはにんじんに夢中だった。
「お嬢様、わたくしは夕食の食材を見つけてまいります。今はコーネリアのそばにいてくださいますか?」
「ええ、いいわ。しばらくコーネリアと遊んでいるから、行ってきてちょうだい!」
「では、行ってまいります」
作品名:メイドロボットターカス 作家名:桐生甘太郎