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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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第9話 令嬢は死んでいる!






「ターカス、おはよう」

「ええ、おはようございます、ヘラお嬢様」

その朝、私はもう長いこと住んでいた家で目覚めたような気分だった。

だって、ここには前のようにターカスが居るんだもの。それなら、どこだって同じだわ。

「シャワーを浴びますか?それとも先に朝食をお召し上がりになりますか?」

「今日はシャワーにするわ」

「かしこまりました」


私が作ってもらった歩行器はもちろん防水なので、私はターカスが部屋の隅に作ってくれたシャワールームに歩行器と一緒に入って座り込み、ターカスが扉を閉めてくれてから、朝のシャワーを浴びた。

熱いお湯で目を覚ましてからは、ターカスが私の長い髪の手入れをしてくれる。

「タオルドライはお済みになりましたか?ドライヤーでトリートメントを致しましょう」

「お願いするわ」

私はターカスの用意してくれた室内着に着替えてから、鏡台の前に座り、ターカスがドライヤーのトリートメントモードで髪を乾かしてくれるのを待った。

「終わりましたね。それでは、朝のお食事をご用意致します。今朝のスープにはジンジャーが使ってありますから、体が温まりますよ」

「コーネリアの分も、忘れないでね」

「もちろんですとも」


私が作ったコーネリアのおうちは、私がテーブルに座っていても見えるように、少し床の離れたところにあり、その周りには、コーネリアが逃げ出さないように、高い金網が立てまわしてあった。その中では、コーネリアが大好きなキャベツを食べようと四苦八苦していて、私はそれを見つめながら、もう食後のお茶を飲んでいた。

コーネリアは、ごはんを食べるのが上手じゃないみたいで、いつも口に入れようとしたキャベツを落っことしては、もう一度口にくわえようと頑張っている。

私はテーブルから離れてコーネリアに近寄ると、歩行器の高さを一番低くしてちょっとだけ金網を開け、床に落ちていたキャベツを拾い集めた。

「いい子、いい子ね、急がないのよ。まだまだたくさんあるわ…」