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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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第68話 海戦





「お嬢様、席順とお名前は覚えられましたか」

「ええ、もちろん」

「お嬢様はまだホーミュリアのご当主として振る舞うのはよしとされないでしょう。後見人として叔母様がいらっしゃいますから。ですが、ここに住んでいるのはお嬢様だけです。そのことを念頭に置き、何よりもおもてなしする方々への敬意をお忘れにならないで下さい。皆様は「ヘラお嬢様に会いたいから、もう一度行こう」と決めて下さった方々なのです」

マリセルがそう言ってくれた時、私はとても嬉しかった。男爵様とも上手くやっていけそうな予感まであった。きっと、あまりにマリセルが守ろうとしながらも力を付けてくれようとしているのが、わたくしにわかったからだわ。

「ええ、マリセル。ありがとう。やってみるわ」

ただ、少し不安もあった。

お父様は完璧になんでもこなす方だった。何をお話しになっているのか私が理解できない小さな頃から、私が客間に飛び込んでしまった時にも、お客人を落ち着かせて笑顔にさせることができたわ。お父様はロボット工学者だったけど、同時に私の父であり、ホーミュリア家の当主だったわ。私は今は当主としての役割だけでいいけど、ゆくゆくはもしかしたら子供の母となり、この屋敷の主となるのかもしれないわ。そんなのとてもじゃないけど私に務まるとは思えない。

「ねえマリセル…」

不安になるとすぐに口に出してしまう。その時私はちょっと頭が痛くなって、一瞬だけふっと目の前にぱちっと光が舞ったような気がした。

「なんでしょうかお嬢様」

「いえ、なんでもないの。少し頭が痛かったのよ。でもすぐによくなったわ」

「そうですか。それではお薬はご不要でしょうか?」

「ええ、大丈夫よ」



オールドマンが見つかった。海底探査機に見せかけて軍事潜水艦を作ったらしい。海底をパトロールし続けているメキシコ軍の潜水艦がレーダーで捕捉した。報せは2分前だ。あちらは動いたらしい。

こちらの方はすぐに引き返し、正面衝突を避けた。しかしあちらの潜水艦は近寄ろうとしていたという情報だ。

しかしその潜水艦にオールドマンが確実に載っているとは言えない。海底では細かな熱規模を測定できないし、届け出のない船だというだけなのだ。しかしこの世に届け出なしで海底を探査しようなんて馬鹿は居ない。

「イズミ、行くぞ」

傍らに居たイズミに声を掛けると、彼は不安そうにした。

「わたくしは、戦闘はできませんが…」

俺は彼に体ごと振り返ってこう言う。

「相手はアタマを持ってる。こちらにもそれが必要だ」

するとイズミは瞼を寝かせてほんの少しだけ唇を上げた。笑っているのではない。

「わかりました」