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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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第67話 決戦前





舞台はおそらくメキシコへ完全に移った。俺はそう見たから、一層毎日に危機感が増した。

会議の結果、俺は実働部隊のトップでその下にマリオの部隊、更に下部組織と組まれ、探索部隊のトップはバチスタに一任された。奴はあのラロ・バチスタ博士の甥御だ。しかし先走りは絶対許されない。

そうして、指示役は人間だがエンジニアに作戦を渡して実現可能な形へと変容させ、ロボット戦となった。それならば、俺には向かわなければならない場所があった。




「マリセル!叔母様のシップはもう着くかしら!?ねえねえロボットがないなら持っていくものは多くなるわよね!?」

「お嬢様、大丈夫でございます。初めてのことでさぞご心配でしょうが、慌てなくていいのですよ。それから、お外に出ても慌てていてはレディーとは言えません」

「もぉ〜、最近のマリセル、なんか厳しい…」

マリセルははしゃいで慌てる私をたしなめた。今まではお稽古ごと以外は自由だったのにと、私はマリセルに向かって少し唇をとんがらせて見せる。

「申し訳ございません。もちろん、今の貴族社会では子供の元気さもなるべく許容されるようにと法整備もされましたが、やはり古くから慣習を守ってきたのがお嬢様のような貴族のお家の方なのです。お嬢様に敵ができないようにとのわたくしの言葉だと、信じて頂けませんか」

私はそれですっかりマリセルが大好きな気持ちに戻ってしまった。それから「ごめんなさい、本当にありがとう」と静かに言ってみると、マリセルは「もう挑戦して頂けたのですね。お嬢様はすごいです」と褒めてくれた。

そこへ玄関のセンサーから来客が知らされたので、私とマリセルはユーリとオスカルを連れ、叔母様と出発しに玄関へ向かった。でも、現れたのは叔母様じゃなかった。

「あなたは…?先ほど応答しなかったのは、叔母様が何かに手間取っていたからじゃなかったのね…」

私はその人の筋肉の盛り上がった腕が恐ろしくて、歩行器を後ろに下げようとしてしまう。するとその人はマリセルを強く睨みつけた。

「我々はこの令嬢が誘拐された過去を記録上知っている者だ。君のこの不手際でまた令嬢が危険に晒されたらどうする」

「と、とんでもないことを…どうも、お嬢様をご心配下さりありがとうございます、確認を徹底致します…」

「ふん、俺は軍人だ。今は心配あるまい。しかし、次には俺が居ないかもしれんぞ」

「は、はい!それで…ホーミュリアに何の御用でございましょうか。わたくしたちは今出かけなければならないのです」

「端的に言う。外出はできない。私が居る間、君達には違法性がないことを立証するべく立ち会いをしてもらい、前当主がロボット工学において残したデータを直接閲覧させて頂きたい。これは上からの命令なのでね」

「ええっ!?お父様の!?な、なぜです!?お父様が何かをなさったの!?」

「いいや、何も。ただ、貴女の父君のお力を我々は借りなければならないのです。理由をお教えすることはできませんが」

その人はその時後ろを振り返り、「こいつはデータ閲覧と運用のためのロボットです」と言った。ヒューマノイドタイプのロボットが「ロボット」と呼ばれているところを見ると、もしかしてロボットがあまり好きじゃない人なのかなと思った。仕方なく私たちはすぐに叔母様に連絡をして、後々私の家で男爵様を招いて非礼を詫びようということになった。まったく。大勢の方が予定を合わせて頂いた日をぶち壊しにするなんて。