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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

INDEX|125ページ/145ページ|

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マリセルの話では、フォーミュリア家に軍から戻る時、ターカスは同じ型のロボットと間違えられてしまっていたみたい。記憶を上書きしようとした時に取り違えたらしいわ。どうりで直そうとしても直らないわけよ。それにしても、どうしてああも違ったのかしら。同じ記憶を上書きしようとしただけのはずなのに。お父様って、本当に優秀な工学者でいらっしゃったのね。

「ねえマリセル、来週はわたくしの社交界デビューよ。ドレスは明日かしら?」

「ええお嬢様。ローズ叔母様もいらっしゃいますから、ご安心ください。それにしても、本当に好き嫌いが直ってよかったです。よく努力なさいましたね」

「何よ!あなたが「自宅ですればいい」と言ってくれたのじゃないの!ありがとう、マリセル」

「いえいえ、お役に立てまして、大変良かったです」


来週の火曜日はわたくしの誕生日。その日に男爵様が舞踏会を開いてわたくしを招いてくださったので、わたくしは初めて社交界に出て、夕食後のダンスまで出席することになっている。今は社交界デビューはかなり遅い。そして初めからすべてを試されてしまう。小さな頃からの厳しい躾は禁じられるようになったけど、いきなり本番っていうのもまた緊張するわ。

夕食のあとは私は皆さまにピアノで伝統のマリアッチを披露し、皆様に踊って頂くのよ。私たちはメキシコの民ですもの。貴族社会なんてヨーロッパじみたものに染まったこの世間でも、私たちはメキシコの民であり続けるわ。さあ、男爵様の料理人は何を出すかしら。


その日の夕食は、小皿に出したチリコンカンと若鶏のディアボラ、それからたっぷりの温サラダに、チリコンカンに合わせた米、一切れのアップルパイだった。私は前を向いてそれを食べ、おなかをいっぱいにして眠った。