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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

INDEX|124ページ/145ページ|

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私が目を覚ました時、私は解体されており、傍には誰も居なかった。

オールドマンは殺され、彼の研究も根絶されたのだろう。そう信じたかった。

私はもうきちんと理解していた。自分はこれからリサイクルを禁ずる廃棄となることも、お嬢様にはもうお会いできないとも。

「お嬢様…ヘラお嬢様」

まあお目覚めね、ターカス。珍しくお寝坊さんなんだから。いらっしゃい、わたくしの朝食はこれからよ。

お嬢様がそう仰っているような気がしてならなかった。その時私は初めて自分が嫌になったような気持ちがした。


間もなく私に向かって、通路を折れ曲がり近づいてくる5つのエネルギー体を感知した。センサーが外されていないのは意外だったが、別に嬉しくもなかった。

一つは「ターカス」だった。私と同じ規模だ。それから「シルバ」。あとの3人は会ったことがないのだろうが、全員がロボットだった。むろん人間を近寄らせるはずもない。私ほど危険なロボットはないのだから。


扉が開き、2人が特に近くに寄ってきた。シルバは顔を見せなかった。隅のほうで待機しているのだろう。

ターカスの隣で私をのぞき込んでいるのが誰かは知らないが、軍の勲章を4つ、身に着けている。高価な軍用ロボットなのだろう。しかしもうそんなことを詮索する気力もなかった。

「ああ、エネルギーが戻ってしまっている。やはり水素締め出しは不可能か」

扉の近くでシルバが「音波の遮蔽よりも遥かに困難ですから」と答えた。

私は、口を開こうかどうしようかはあまり迷わなかった。これは私の遺言なのだから。

伝わりはしない。しかし、私はこう言わなければならないのだ。そう思いながら、世界一心細い気持ちをわがままで塗り替えながら、こう言った。

「お嬢様を…お嬢様の一族を責めるのはおやめください」

すぐに私は平手を食わされることになる。

「ならぬ。その君の発言で、君に人格がプログラミングされたのは明白だ」

私は最後に何を思えばいいのかわからなかった。誰かに聞こうとも思わなかった。お嬢様の顔、そしてまだご存命だった頃のダガーリア様のお顔だけを思い出し、必死に安心をしようとしていた。

「君はこれから大多数の部品を廃棄し、サンプルとなる。では落とすぞ」