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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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「全員居るか!?」

明るくなってから私は人員の確認をした。その場には、ロペス中将と、ターカス、そしてアルバにメルバ、私が居たはずだ。

「中将を攫われたわ!」

アルバはそう言い、破壊され尽くした右腕をこちらに向けた。恐らくその腕でロペス中将を守ろうとしていたのだろう。ターカスがすぐに駆け出そうとするのを私は止めた。

「君のスピードを今抜かれたんだ!君一人が行ってどうなる!」

ターカスは悔しそうにしたが、「ではどうします」と私に判断を委ねてくれた。

「軍のシステムを動かせるはずだ。それから、シルバ」

私がシルバを振り返ると、「やっています」とだけ彼は答えた。しかし私はあまりシルバの位置検索をアテに出来なかった。何せ、周囲5メートルはステルス化を施せるGR-800001と一緒なのだから。

「やはり駄目です。見つかりません」

「つまり、ターカスは全力を使って我々からなぜかロペス中将を奪っていった。目的は…」

「わかりません。ターカスが攫われていない方が不自然な位です」

「そうだな…」

「ヒト兵器を作る為なら、もっと効率的で危険の少ない集め方があるはずですし、エリックの考える事は僕には完全には見通せません」

「そうか…しかし、中将が攫われたからには、これは明確に誘拐事件だ。そして相手はテロリスト。世界連に協力を仰ごう」

「それがいいかと」




「ターカス君。君の物分りを少々良くして頂きたいのでね。ちょっと失礼するよ、中将殿」

私の目の前で、縛り付けられた中将の首に刃物が突きつけられ、そしてその皮膚から少しだけ血が出る。

「やめて下さい!」

同じく部屋の反対方向に縛り付けられた私がそう叫ぶと、オールドマンは不敵に笑ったまま、ナイフに力を込めた。でもそこで、白い壁に縛り付けられて固定されたロペス中将は、笑ったのだ。

「なあにターカス。俺は軍人だ。利用されるくらいならな…」

「中将!?」

彼は大きく口を開けると、それをガチリと閉じ、それからぐったりと息絶えた…。