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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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「本当にここの下なの?覗いても、何もありゃしないわ」

アルバが地下をスキャンしようと歩道から真下を覗き込んでいるが、彼女の目は何も捕らえられないらしい。またステルス化が施されているのだろうか。念入りな事だ。

「ええ、ここに間違いありません。設備の程は確かめられませんでしたが、もしオールドマンがメキシコに来ているならここしか居場所はありません」

シルバはウィンドウを閉じて体をシールドで守る。彼は非戦闘員なので、軍からシールドが支給された。

その後中将が軍用車で人員を運んでくると、ターカスは各々のスペックを聴きたがり、中将は大して興味もない風に答えていた。


ロボットが80人。後方にはそれらを操るエンジニアが20人。先頭を切るのはもちろんターカスだ。アルバやメルバは中将に参戦を止められた。オールドマン邸でまともに戦闘で役に立ったのはターカスだけだったからだろう。

「なんでだよ!オレ達だって戦える!」

「そうよ!ちゃんと武力ならあるわ!」

彼らはそう息巻いたが、場合が場合だ。中将はこう言った。

「お前さんらの武力は、あくまで「ポリス」が必要とする枠を出ない。軍人とは違うんだよ」

その言葉に二人は何も言えず、そのまままずは入口を探す事になった。




「建物の入り口なら普通は扉だが…シルバ、入口の場所はわからないか」

中将がシルバに声を掛けると、シールド越しにくぐもった声が返って来る。

「競売で競り落とした当時はそちらの教会の下になっていました。今もそうかは分かりません」

「教会、ねえ…。まあ行ってみるか」

私達は無人の教会の中へ踏み入り、絨毯をどけたり聖像を動かしたりして、入口を探していた。


「ないな…そう簡単には見つからないのはわかるが…」

その時ターカスが声を上げた。彼は床に向かって屈み込んでいて、ある場所を指でなぞる。

「こちらに接合した痕跡があります!中将!ここです!」

よくよく見ると確かに人為的に入口を接合した痕があった。我々はそこをロボットの手で溶かし、中へと潜入した…。



そこは長い長い螺旋階段だった。

まるで鍾乳洞のように静かで暗く、壁は剥き出しのコンクリートだ。しかし加工された物なので、腐食はしていないしヒビも入っていない。国家予算は大して使えなかったが充分に気を配った、といったところだろうか。

ザッ、ザッ、ザッ…と、100人程の人員が全員階段に掛かるだろう頃になっても、まだ螺旋階段は続いていた。

「気味が悪いぜ…ずいぶんなげえな…」

中将がそう言うと、シールド越しにシルバが答える。

「そろそろ居住空間に着くはずです。皆さん、心して」

「ああ…」



最下層と思しき場所にはそれからすぐに着いた。そこは明るく、またもや真っ白だった。そしてなんと驚くべき事に、何人かの人が居たのだ。

ターカスは人々に駆け寄り、怯えている風の女性を抱きかかえた。

「大丈夫ですか!」

彼女は30歳前後らしく、長い髪を震わせ、すっかり怯えていた。恰好は手術着のようで、明らかにオールドマンに誘拐されたらしかった。

「ええ、ええ、私、ここで待つようにって…」

女性が口走った事の意味を考えている内に、我々はその場に居た男性と、もう一人の女性も保護した。しかし彼らはすでに“施術後”だったのだ…。


ターカスが抱きかかえていた女性は、バリバリッと音を立てて体が破け、絶命したと思ったらそこら中へめちゃくちゃに爆弾を放った。

「中将!制圧して下さい!」

「任せろ!」

怒号が飛び交い、我々の後ろに居たロボット達は「目」を使い、暗転した部屋の中で先程まで囚われの身だった「兵器」を迎え撃つ。たった三人だ。すぐに終わる。

しかしいつまで経っても攻撃は止まず、ロボット達はいくつもいくつも爆撃を放った。煙幕で中将は呼吸が出来なかったのか、階段のいくらか上へ避難していた。

段々と我々が押され始めてから分かったが、最下層の円形の室内にはそれこそ無数の「命無き戦士」が放たれていた。これでは埒が明かない。

「ターカス!あなたはもっと下へ!プログラムを止めて下さい!」

シルバがそう叫ぶと、ターカスはその場から消え、我々は絶え間ない爆撃から体を守り、闘った…。