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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

INDEX|112ページ/145ページ|

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「おかえりなさい、ターカス」

「ええ、お嬢様…」

「ねえ、まずはお茶にしない?」

私が家に戻った時、ヘラお嬢様は落ち着いた様子だった。以前のように、私の態度に不満を唱えたりもしなかった。ただ、どこか悲しそうな様子に見えた。

マリセルは一歩後ろに立ち、私達がお嬢様の部屋へ入るのを見送る。私はマリセルを振り返ったが、彼は何も言ってくれなかった。


私は、バチスタ博士が亡くなった事はお嬢様に話さなかった。あまりにショッキングな光景だったからだ。14歳のお嬢様には話せない。私には話せない事が多すぎた。この数日、自分がかいくぐってきた死地を、この小さな少女には見せられない。


「ねえ、ターカス」

私が淹れた紅茶から顔を上げ、お嬢様はこちらを見る。その目はとても静かで、でもやはり悲し気だった。

「どこかへ行くのね?」

そう聞かれたので、頷いた。そうするとお嬢様はこちらへ身を乗り出し、私の頭へ手をやった。

「頑張っていらっしゃい。きっと帰ってくるのよ」

「ええ…」

分からなかった。なぜこの少女はここまで私を思いやるのだろう。私はただのロボットなのに。そう思う自分も分からなかった。

“この家は、居心地が悪い。私には、分からない事ばかりだ…”

私を優しく見詰める少女には、本当の事を言えなかった。そのまま私は、マリセルに事情を話し、軍の基地へ赴いた…。