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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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「メキシコに居る。それは確かだろう。でも今度穀物メジャーが活動するのはアフリカじゃなかったのか?そこには居室は?」

「ありません」

シルバがそう言ったので、私は腑に落ちない気持ちではあったが、どうやら亡きダガーリア氏の成功を僻んで成長したオールドマンがメキシコを制圧するつもりなのだろうとは思った。

「それでどうする。攻め入るか?令状は取りようがあるか?」

メルバはジャーキーを噛みながらテーブルを乗り出す。

「いくらでも。違法な事は挙げればキリがありませんよ。調べはついています。現在禁じられている人体実験、誘拐、殺害と、オンパレードです。貴方が見つけてくれた死体は、身元の照会が進んでいます。ポリスが原告になれます」

「決まりだな。行こう」

私はそこに口を挟む。嫌な予感がまた掠めた。

「待て。相手は生物兵器を持っているんだ。迂闊に手出しは出来ない。新たな犠牲者が出る。中将。軍に動いてもらいましょう」

「それは俺も同意する。大規模な兵力が必要だ。徹底的に押さえ込まなきゃな」

「ではロペス中将にはその手続きをお願いします。この場で出来ますか」

シルバは重ねて出していたウィンドウをすべて閉じ、中将に向き直る。中将は頷いて端末を取り出した。彼が通信をしている横で私達は話し合う。その時はターカスも入って来てくれた。


「メキシコシティのアジトはどこなんだ」

「地下です」

「位置は」

「都市部の真下、以前シェルターとして使われていた場所が20年前に競売に出された時、買い取ったのがオールドマンです。かなり深い場所です」

「またあの気味の悪い真っ白な空間なのかね」

メルバは首を振る。

「とにかくそこへ踏み込み、オールドマンの研究を奪いましょう」

ターカスは積極的だった。それは頼りになる。

「ねえ、でも都市部の真下なら、地上に出てきたら大変よ」

アルバの心配はもっともだった。でも、そのために軍の協力も仰ぐので、万全を期して我々は向かわなければいけない。

そう話していると、中将が端末を胸元にしまいこちらを振り向く。

「上層部に話が通るのには15分掛かる。少し待ってくれ。ところでターカス。お前一度くらい家に帰らなくていいのか?事情の説明もしていないだろう」

ターカスは少し気まずそうに俯いた。

「これからバチスタ博士の葬儀もある。君には、決戦の前にやる事があると思うがな」

その言葉にターカスは上の空のようで、まともな返事をしなかった。