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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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そこに現れたのは、あのラロ・バチスタ博士のはずだった。だが、全くの別人だとすぐに分かった。

顔は博士のままだが、前に出した両手からは様々な重火器がこちらへ向けられ、体のあちこちから兵器らしき鉄の部品が歪にはみ出し、肉の裂けたところから白い絨毯へ血を引きずりながら、博士は歩いていた。

“どうする!?”

ターカスは一度頷き、やにわに廊下に躍り出た。そしてあっという間に手のひらを開き、その場に爆炎が上がる。

「ターカス!?」

「大丈夫です!」

煙の中から聴こえてきたのはターカスの声だ。博士の声はしなかった。博士を殺したのかと危ぶんでいると、今度は壁の影に隠れた私に向かって、小型のロケットが飛んできた。

「あっ!!」

一つ、二つ、三つ、四つ。しゅるしゅると飛んでくるロケットを叩き落とす、青い閃光が私には見えた。目にも止まらぬ速さだ。その内にまたターカスの声がした。

「あちらの方が遅い!機能は永久機関ですが、取り押さえれば封じられます!」

「どうやって!」

「凍らせます!」

私の声に答えた時、青い影はもう私には見えず、気が付いた時にはあれだけ真っ白になっていた廊下の煙が消えかけていた。


廊下の隅に横たわる博士に、ターカスが馬乗りになっている。彼は、博士の胸目がけて両手を乗せていた。

私は彼になんと声を掛けたらよいのか分からなかった。彼は戦術ロボットだ。戦闘に余計な情けを掛ける事はしないはずだ。だがバチスタ博士は彼の生みの親なのだ。どちらの気持ちに寄り添えばいいのか、私には分からなかった。

そう思って迷っている内に、ターカスが立ち上がる。

「早くオールドマンを探しましょう。一度シップへ博士を運ぶように、アルバ殿を呼んで下さい」

「…わかった」




「ロボットの中に人を生む。その発想は、逆転出来るだろう?」

俺は主人の言う事に返事をした。

「ええ、そうですね」

主人は回転椅子をクルリと返し、不自由な足で立ち上がろうとするので、俺は傍へ寄って手を取った。

「人の中にロボット工場を埋め込む事が出来れば、街中どこでも木を隠した森の中なのだよ」

「そうですとも」

「さあ。研究は完成だ。荷物は持ったか?」

「ええ」

俺は小脇に抱えた培養器をちょっと持ち上げ博士に微笑む。オールドマン博士は満足げに笑って、外への扉を開けた。




「アームストロングさん!博士はシップに乗せたわ!それで!?オールドマンは!?」

私達は元の階段前の広場に戻ってアルバを待っていた。彼女が戻って来て私達は話を始めたのだ。

「見つからない。早く探そう」

「この屋敷どうなってるの!?私の目が全然利かないのよ!そこらじゅうが全部ステルス化されてるの!まるで要塞だわ!」

アルバは困り果てて両手を振り下ろす。

「メルバよ、お前さんの見た所は誰か居たか?」

中将がメルバを見下ろして聞くと、メルバは首を振って答える。

「いいや、誰も。部屋の鍵は全部開いてたけどな」

私はそこでなるべく情報を集めたくて、メルバにこう聞いた。

「何かめぼしい物は見つけたか?」

ターカスはその時私の後ろでオールドマンを探しに行きたそうに、そわそわとしていた。メルバはみんなの真ん中からこちらを見てこう言った。次の瞬間、全員の異常な注目が彼へ向いたのだ。

「人の死体が、30体ほど」